故・平尾氏との約束。名門神戸製鋼ラグビー18季ぶり復活日本一の理由とは
これまでチームメイトにかけてきた言葉について聞かれると、隣に座るジョー・ラッシュ通訳を見て「我々のチームには素晴らしい通訳がいるので、選手とのコミュニケーションはできている」と笑わせる。 「真剣な話をすれば、今週、決勝に出たことのない選手たちが私、アンドリュー・エリス(元ニュージーランド代表で共同主将)、クーピー(アシュリークーパー)たちに『決勝を勝つためには何か特別なことをした方がいいのか』といった質問をしてきました。私からは、『いままでやって来たことを信じてプレーすれば大丈夫』と伝えました。ここまでいいラグビーができている。その理由は、シーズンを通してのハードワークです。ハードワークをしてきたのだから、何も特別なことは必要ない。いままでやって来たことを信用し、集中して自分の仕事をすれば大丈夫と」 今回のトップリーグの決勝戦は、昨季に続いて日本選手権決勝を兼ねておこなわれた。ワールドカップ日本大会への日本代表の準備期間を担保すべく、シーズンは短縮化。昨季は1月13日にあったファイナルゲームがこの日のうちに終わり、1月には代表選手の参加しないカップ戦の順位決定トーナメントがある。 そして来季の開幕は2020年1月。日本のサンウルブズが参加するスーパーラグビーと同時期に、国内リーグが開催されるわけだ。日本ラグビー界が描くビジョンには引き続き外部からのチェックが求められるが、ファンにとっての朗報もある。カーターは来年も、この国でプレーする。 平尾氏というレジェンドを失いながらも製鉄所の代表という大義を見つめ直した神戸製鋼が、オリンピックイヤーの楕円球界をどう沸かせるのか。首を長くして待つほかない。 (文責・向風見也/ラグビーライター)