アルバムリリースツアーを控えたTOOBOEインタビュー メジャー1stアルバム『Stupid dog』は全17曲の大ボリューム!
TOOBOE(トオボエ)がメジャー1stアルバム『Stupid dog』をリリースした。 「錠剤」(TVアニメ「チェンソーマン」第4話エンディングテーマ)、「往生際の意味を知れ!」(ドラマ「往生際の意味を知れ!」オープニング主題歌)などの話題曲のほか、リードトラック「咆哮」、楠木ともりをフィーチャーした「紛い者 feat.楠木ともり」などの新曲もたっぷり収録。“バカな犬”という世界観を背景に、TOOBOEの音楽的ポテンシャルを証明する作品となっている。3月には全国7会場を巡るアルバムリリースツアー「和やかな支配」を開催。アルバムとツアーについてTOOBOE自身に語ってもらった。 【全ての写真】TOOBOEの撮り下ろしカット ――メジャー1stアルバム『Stupid dog』がリリースされました。メジャーデビュー後に発表したシングルに加え、新曲6曲を収録。全17曲のボリュームです。 「こういう音楽をやってる人間だよ」という名刺を作りたかったんですよね。「新曲は最低限、4曲くらいないとな」と思ってたんですけど、結果的に6曲になって。周りの人に「曲数がおかしい」って言われますけど(笑)、新曲が3曲くらいだとさびしいかなと。シングルは攻撃力が高いものを出すことが多いんですけど、アルバムの新曲は自分の趣向性が強いものにしたくて。作っていて楽しかったですね。 ――『Stupid dog』というタイトルもすごいですね。TOOBOEという名前にも“負け犬”というイメージもありますが……。 “愚かな犬”“バカ犬”ですからね(笑)。この2年間のなかで作ってきた曲は、“主人に逆らえない。でも愛されたい”というテーマが多かったんです。 「錠剤」(TVアニメ「チェンソーマン」第4話エンディングテーマ)、「往生際の意味を知れ!」(ドラマ「往生際の意味を知れ!」オープニング主題歌)もそうですけど、タイアップ曲も偶然そういうものが続いて。“飼殺される”というと言い方がよくないですけど、“従うしかない”“この人に愛されるしかない”みたいな状況には僕自身も共鳴するし、もともとそういう作品が好きなんですよね。それを含めて、『Stupid dog』というタイトルがぴったりじゃないかなと。 ――おそらくすべての人が何かに従ってるだろうし、じつは普遍的なテーマなのかも。 そうですね。ボーカロイド曲を作っていた頃は怒りや反骨心が強かったんですけど、今もその延長線上にいると思っていて。自分で歌うようになって、メジャーデビューしてから、その感覚をリブートさせたところもありますね。 ――なるほど。ではアルバムの新曲について聞かせてください。1曲目「廻する毒素」は、TOOBOEさんのルーツのひとつであるスガシカオさんの影響がめちゃくちゃ出てるなと……。 そこを察してもらえるとありがたいです(笑)。「スガさんのアルバムの1曲目ってこういう感じだよな」というのをやった曲なんですよ。歌詞に関しては……この曲に限らず、“毒を仕込む”みたいなことが好きで。めちゃくちゃ聴きやすいポップスなんだけど――もちろん“いい曲”であるのは前提で――変則的なコード進行やワードを入れることで、もう1回聴くと毒が効いてくる。それは全曲、意識していることですね。 ――「ミラクルジュース」はギターがフックになっていて。まさに中毒性のあるサウンドですよね。 デモは自分で作ったんですけど、ギターの破壊力を上げたいと思って。ボカロPの煮ル果実くんに「好き勝手に弾いて」って頼んだんです。自分が弾いたギターも混ざってるんですけど、彼のギターはすごく特徴的なので、ファンの人が聴いたらわかると思います。 ――ボカロP界隈とはずっとつながりがあるんですね。 そうですね。今は(ボカロ曲のリリースは)ペースが落ちてますけど、ボカロPの友達とはたまに会ってるので。煮ル果実くんはずっとボカロ曲を作り続けていて。たぶんシンガーにはならないタイプだと思うんですけど、そのやり方もすごくカッコいいなと思うんですよね。あと、ボカロのシーンって代謝がすごくて、久々に戻るとまったく違う曲が流行ってて、全然知らない新人が活躍してたりするんですよ。そういう状況を友達のボカロPに教えてもらうこともありますね。 ――「fish」は森田悠介さん(ベーシスト/作曲家/編曲家/音楽監督)がリアレンジ。 森田さんには「With ensemble」(アーティストとオーケストラのコラボをテーマにしたYouTubeコンテンツ)でお世話になって、「浪漫」「博愛」のストリングスもアレンジしてもらって。「fish」の原曲は打ち込み感が強いバラードなんですけど、何か面白いチャレンジをしたくて、森田さんにオーケストラ・アレンジをお任せてしたんです。僕からは絶対に出来ないフレーズやアレンジの曲になって、楽しかったですね。 ――任せると決めたら、100%任せるんですね。 そうしないと意味がないというか。自分が指示を出したら、みなさんプロなんで、完璧に形にしてくれると思うんですよ。でも、それをやってしまうと自分の範囲から出ることはできない。だったら完全に身を任せてみよう、と。MVの作り方もそうですね。 ――「紛い者feat.楠木ともり」も話題を集めています。 「チェンソーマン」からのご縁ですね(楠木ともりは“マキマ”役を担当)。以前、楠木さんに楽曲(「晴天の霹靂」)を提供させてもらったんですが、その後、楠木さんのライブにもお邪魔させてもらって。そのときに「楠木さんの1面しか捉えてなかったな」と思ったんですよね。もっともっといろんな表現ができる方だし、もう1回(楽曲提供など)チャレンジさせてもらいたいなと思って、自分の楽曲で歌ってもらえませんか? とお願いしました。共通している部分があるというか、お互い、自己肯定感が低いタイプなんですよ。周りから評価されても、ぜんぜん納得できていないというか。そういう部分を曲にしたいと思ったんですよね。楠木さん、自分のツアーの東京公演にも出演してくれるんですよ。何の曲をやるかはわかんないですけど(笑)。