アルバムリリースツアーを控えたTOOBOEインタビュー メジャー1stアルバム『Stupid dog』は全17曲の大ボリューム!
――楽しみです! 「チェンソーマン」との関りはやはり大きかったですね。 貴重な体験でしたし、鍛えられました。「錠剤」はある程度の評価を頂けたんですが、自分としては反省点が多くて。スキルの限界もあったし、そもそもアニメのエンディング曲を作ったのも初めてだったんですよ。もしも今、「チェンソーマン」第4話のエンディングを作ったら、まったく違うものになるんじゃないかなと。そのことを受け入れながらがんばってるのが、最近です。 ――自己肯定感は変わらなくても、スキルはまちがいなく上がっている。 それはもう上がらざるを得ないですね。『Stupid dog』には「あのときにしか作れなかったな」という曲がたくさん入っているんですけど、それはそれで貴重だと思うんですよ。たぶん僕はもっと歌が上手くなって、ミックスや楽器も上達する。そうやって変わっていくと思うし、このアルバムはこの2年間でやってきたことが詰まっているので。 ――リードトラックの「咆哮」については? アルバムに先がけてMVを出すときに、「だったら『咆哮』だな」と。単純に勢いがあるし、“犬”というコンセプトにもつながっているので。こういう“真ん中”のテンポ感の曲って、あまり作ったことなかったんですよ。「心臓」「錠剤」みたいな速い曲か「fish」みたいなバラードのどちらかだったので、その間のテンポ感の曲をやってみたいなと。 ――新しいトライだったと。「月の行方」はファンク・テイストの楽曲です。 やっぱりスガさんの影響が大きいんですが、ファンクが好きなんですよ。岡村靖幸さん、SUPER BUTTER DOGや在日ファンクもそうですが、日本のミュージシャンはファンクと日本語の融合にずっとトライしてきて。勝手ながら、僕もそれを受け継いでやってみた感じですね。 ――アルバムの最後に収録された「夜の叙情の如く」はまさに抒情的なバラードナンバー。 さっきも言いましたけど、シングルは攻撃力が高い曲が多いし、ノリが良くないとバズらない傾向があって。「錠剤」とかで僕のことを知った人は「速くてガチャガチャした感じがTOOBOEらしさだよね」とおっしゃると思うし、それは間違いではないんですけど、「夜の叙情の如く」みたいな曲でも自分らしさをしっかり伝えられたらなと。16曲目の「浪漫」で勢いよく終わってもよかったんですけど、直感的に「そうしたくないな」と思ったんですよね。聴後感をもっと良くしたかったというか。 ――TOOBOEさんの音楽的ポテンシャルがさらに拡大したアルバムだと思います。メジャーデビュー当初は「自分が歌う意味はあるのか?」みたいな話もしていましが、今はどうですか? TOOBOEとして音楽を作り、届けることの意義がはっきりしてきたんじゃないかと思うのですが。 そうですね。アルバムでいうと、それが曲順にも表れていて。6曲目の「敗北」までが前半だと思ってるんですけど、荒々しいんですよ。7曲目の「fish」以降の曲は作った時期も「錠剤」より後で。「錠剤」に対する反省を踏まえながら、違うスイッチが入ったというか。「往生際の意味を知れ!」はドラマの制作サイドの方、原作者の方、僕自身も納得できるものが作れたという手ごたえがあったし、アルバムの後半は自分にとっても味わい深いですね。 ――アルバムリリースツアー「和やかな支配」についても聞かせてください。メジャーデビュー後はフェスやイベントの出演も増えましたが、ステージに立つことへの意識も変わってきましたか? 変わったし、「やっとかよ」と思われるかもしれないけど、少しずつライブが楽しくなってきました。一昨年、去年くらいまではライブが大嫌いだったんですよ、緊張するし、「なんで歌詞を覚えなくちゃいけないんだ」とか(笑)。僕の曲の歌詞、言葉数が多いんで。 ――確かに(笑)。 でも、やってるうちに楽しいなと思うようになって。最初はピッチを合わせるとか、テンポのことばかり意識して、それをみなさんに届けることで精一杯だったんです。最近はやっとお客さんとコミュニケーション取れるようになってきたし、目も合わせられるようになったというか。もともとはネットの活動者だから、リスナーの顔を見たことがなかったんです。ライブをやるようになって初めてリスナーの方々と会えて、それはやっぱり嬉しいですよね。前回のツアーは東名阪だったんですけど、今回は7会場で、福岡や札幌、仙台、金沢にも行くので、今まで会ったことがない人たちに会えるのも楽しみです。 ――「和やかな支配」というタイトルについては? 音楽って普段、作業中とか出勤中に聴かれることも多いじゃないですか。言ってみたらいちばん下の存在なんだけど、ライブは音楽を聴くために人が集まるし、一時的にいちばん上に来る。……という話をシンガーの友達がしていて、「すげえいいな」と覆って。それは音楽に支配された空間だし、このタイトルは「2時間くらいの間、その空間と時間をみんなで楽しもう」という意味もありますね。さっき言った「チェンソーマン」「往生際の意味を知れ!」もそうだけど、支配について考えることも多かったし、裏テーマとしてずっとあった言葉なんですよ。 ――ちなみにツアーのフライヤーには麻雀の写真が使われてるのはどうしてですか? 麻雀、好きなんですよ(笑)。ミュージシャンの仲間ともやるし、アプリでもけっこうやてて。麻雀って人生なんですよ。自分が捨てた牌が、あとから「あれが必要だった」ということになったり。めっちゃ深いです。 Text:森朋之 Photo:吉田圭子 <リリース情報> TOOBOE メジャー1stアルバム『Stupid dog』 発売中 <ツアー情報> TOOBOEワンマンツアー『和やかな支配』 3月7日(木) 大阪・梅田CLUB QUATTRO OPEN17:45 / START18:30 3月8日(金) 愛知・名古屋CLUB QUATTRO OPEN17:45 / START18:30 3月10日(日) 福岡・DRUM Be-1 OPEN17:00 / START17:30 3月14日(木) 北海道・cube garden OPEN17:45 / START18:30 3月16日(土) 宮城・仙台MACANA OPEN17:00 / START17:30 3月17日(日) 石川・LIVE HOUSE vanvanV4 OPEN17:00 / START17:30 3月20日(水・祝) 東京・恵比寿ザ・ガーデンホール OPEN16:00 / START17:00