巨人・井上温大、CS初登板23歳が反撃1勝呼んだ 六回1死まで完全!戸柱のソロのみ6回1失点
「2024 JERA クライマックスシリーズ(CS) セ」は19日、東京ドームでファイナルステージ(6試合制)の第4戦が行われ、巨人がDeNAに4―1で競り勝って初白星を挙げ、1勝のアドバンテージを含めて対戦成績2勝3敗とした。CS初登板の巨人・井上温大投手(23)が六回1死まで完全投球を続け、6回1安打1失点と好投。後を受けた救援4投手は無失点リレーでリードを守り切った。 崖っぷちでも、心を落ち着かせた。負ければ敗退が決まる一戦で井上が6回1失点、6奪三振の好投。強力打線を抑え込み、チームに待望の一勝を手繰り寄せた。 「いつもより『頑張れよ』と言われたのでちょっと気負ってしまう部分があった。試合に入ったら気にせず、切り替えられたので良かった」 三回は3者連続三振を奪うなど六回1死まで一人の走者も許さない完全投球。140キロ台後半の直球と切れ味鋭いスライダーが冴えた。「事前に相手打者を研究して、いい準備ができているという確信があった」。六回1死から戸柱に同点ソロを浴びたものの最少失点に抑え、後を受けた船迫、ケラー、バルドナード、大勢の強力救援陣がスコアボードに0を並べた。 2020年の入団当時、2軍監督だったのが阿部監督だった。高卒1年目で秋のフェニックス・リーグに参加した際には〝食トレ〟を実施。宿舎での夕食の際には「来い」とテーブルを挟んで目の前の席に呼ばれた。肉は食べても食べても阿部監督の手によって皿に追加され続け、白米は大盛り3杯のノルマを課された。 「とにかく必死で食べた。めっちゃきつかった」と振り返るが、その成果もありプロ入り時60キロ台だった体重が今では78キロまで増量。球速アップにつなげた。手塩にかけて育てた左腕がもたらした勝利に、指揮官は「何とか流れが変わると思っている」とうなずいた。 シーズン途中からローテーションに定着して8勝を挙げた成長株。マスクをしていても商業施設などでファンから声をかけられるようになった。大一番で快投し「自信が付いた。これからの野球人生に大きな1試合になった」と井上。巨人の顔になりつつある若武者が、崖っぷちのチームを救った。(原田優介)