懸賞金は1万円! 日本の桜を食い荒らす「クビアカツヤカミキリ」の脅威とは
侵入 ほかにも
日本に侵入した外来種カミキリはほかにもいるわ。 福島県郡山市では21年、中国に生息する「サビイロクワカミキリ」の侵入が国内で初めて確認された。マメ科のイヌエンジュの街路樹にいたサビイロを発見した樹木医の安斎由香理さん(45)は、「いつ侵入したか気付づかなかった」と話しているわ。 ほかに、国際自然保護連合が「世界の侵略的外来種ワースト100」に指定している「ツヤハダゴマダラカミキリ」も、埼玉県など8県で確認されたわよ。中国や朝鮮半島が原産地で、トチノキやニレ、カエデなど幅広い樹木に寄生するから、今後の拡大が心配だわ。
対抗策を研究
対策の基本は、カミキリが寄生した樹木を伐採することなの。でもそれ以外の対抗策も研究されているわ。 森林総研は、殺虫剤を木に注射し、幼虫を駆除する「樹幹注入剤」の効果を確かめた。クビアカの幼虫が寄生したサクラの木5本に注入したところ、2週間後には寄生した穴の72%でフンが混ざった木くずが出なくなったそうよ。森林総研では木の幹を振動させ、成虫を驚かせて産卵させない装置も開発中よ。 群馬県館林市は、クビアカの死骸を市役所などに持ってきた人に報奨金を出す施策を進めているわ。1匹につき報奨金50円か飲料水を贈る事業で、これまでに約2万匹の駆除に成功したそうよ。クビアカの幼虫は5~9月に樹皮に穴を開けてを排出する行動をするわ。もし外来種カミキリを見つけたら、すぐに市区町村の窓口に連絡をしてね。
他の昆虫も続々 156種の輸入など規制
外来種の昆虫はカミキリムシ以外もいるわ。特に悪名高いのは、南米原産のヒアリね。腹部の毒針に刺されると、焼けるような痛みに襲われるの。海外から来た船に紛れ込んで、各地の港などに侵入していることが確認され、大きな問題になっているわね。 欧州原産のセイヨウオオマルハナバチは、在来種の巣に侵入し、女王蜂を殺して乗っ取ることもあるそうよ。昆虫以外にも、哺乳類のアライグマ、両生類のウシガエル、魚類のオオクチバスやブルーギルなど、問題となっている外来種はさまざまいる。 近年のグローバル化によって、外来種もますます増えているわ。国は外来生物法で、156種を「特定外来生物」として指定し、輸入や売買などを規制している。 2022年5月11日、外来生物法が改正されたわ。ヒアリのような強い毒を持つ特定外来生物を、特に政令で「要緊急対処特定外来生物」に指定し、国内に侵入しないように検査など国の権限を強化することになったわ。 読売新聞 科学部 稲村雄輝 *** 読売新聞東京本社科学部の記者たちが、「理科子先生」とともに科学の最前線に迫る『おしえて! 理科子先生(1)』(読売新聞アーカイブ選書)は、ふりがな付きで子どもにも読みやすく、受験や人生に役立つ知識が満載だ。 昼夜の気温差が300度もある「月」で人間は暮らせるのか、実はカタツムリの9割が右巻きである謎など、21のギモンに答えてくれる。 協力:新潮社 Book Bang編集部 Book Bang編集部 新潮社
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