中国・内モンゴルに招かれた高校卒業生たちの「草原卒業式」
【東方新報】夏の内モンゴル自治区(Inner Mongolia Autonomous Region)、烏蘭毛都草原(ウラン・モド草原)は中国とモンゴル国の国境に位置し、大自然に囲まれた山水画のような美しい土地だ。先日、「第2季『私は草原と約定した』学生草原観光祭」が開催され、今年最初のゲストとなる2024年度の高等中学校の卒業生を迎えた。 草原はこの「大学進学予備生」のために、特別な卒業式典を準備した。ホルチン右翼前旗(Horqin Right Front Banner)政府のヤン・ウーランルーシー副旗長は、草原で楽しそうな若者たちを眺めながら「緊迫した大学入試も終了し、そろそろ学生旅行がホットな話題になる頃に、夏の学生旅行シーズンを先取りしました」と語った。 「蘇道(Sudao)家族牧場」が今回の卒業式のメインステージだ。「卒業お別れディナー」を楽しみ、モンゴル族の衣装で記念写真を撮ったり、草原を転げまわったり、若者たちの元気な姿が見られた。 「ホルチン右翼前旗第一中学校(高等中学)」「第二中学校(高等中学)」「職業高校」の学生と教師合わせて1000人近くがこの牧場に集合し、ロマンチックな「別れの門出のセレモニー」を開催した。 また、ここに集まった学生のうち幾人かは、故郷の「観光振興官」として、卒業式の様子をSNSネットワークにアップロードし、大きな反響を呼んだ。 「皆さん、こんにちは、私の後ろのこの手つかずの草原は蘇道家族牧場です。ここで皆さんは美味しい料理と景色を楽しむだけでなく、モンゴル民族の威厳と情熱に浸ることができます。私の故郷へどうぞお越しください!」、観光専門サービス・マネジメント学科の24年度の大学1年生になる佐騏(ズオチ、Zuo Qi)さんは、故郷の草原の美しさが、とにかく大好きだ。 彼は「大学に合格してから、故郷の美しい風景を周りの学生や友人たちに話して聞かせました。故郷の『広報官』ですね」と話す。 青青とした大草原、連なるように並んだゲル(モンゴル族のフェルト製の丸いテント)、気ままに走り回る馬の群れ、どれも美しい景色になる。学生たちはモンゴルの民族服を身にまとい、写真を撮ったり、伝統的な乳製品を味わったり、モンゴルの弓矢や乗馬など楽しみは尽きない。応援の声、叫び声、歓声が、一望千里の大草原の地平線に向かってこだましていた。 参加者の1人・張鑫(Zhang Xin)さんの両親はいつも外地に働きに出ていた。張さんはこれまで、学生たちと一緒に旅行して、草原に横たわって星を数えるような行動をする勇気が無かった。「私は田舎で母方の祖父母と一緒に暮らしていたので、草原に来たのはこれが初めてです」と話す。張さんは父母と遠く離れて暮らしている妹に写真を何枚も送信した。妹にも美しい草原を見に来ることができるようシッカリ勉強して欲しいと願っている。 大学1年生のテムルンさんは今、故郷の美しさを伝える「広報官」だ。昨年高等中学を卒業した時に「学生草原観光祭」に参加した。 彼はその時の感動が忘れられなかった。「卒業の時に自分の故郷について詳しく学ぶ機会を持って、故郷の食べ物、美しい風景を同級生たちの紹介できることを、特に誇りに思っています」と話す。 ホルチン右翼前旗文化観光体育局の公式データによると、23年の学生草原観光祭の期間中、中国伝媒大学(Communication University Of China)、中央戯劇学院(The Central Academy Of Drama)、北京電影学院(Beijing Film Academy)、内蒙古農業大学(Inner Mongolia Agricultural University)など全国の大学から1万人以上の大学生が集まった。 地元では、今年の「学生草原観光祭」の期間中、大学生草原観光の費用を全額、地元政府が負担し、「赤い草原観光」「青い草原観光」「緑の草原観光」の三つのコースを用意して、自然の生態、実際の景色、没入型体験で、大学生に辺境地帯の独特な魅力を感じてもらい、全国各地の大学生たちの交流や交誼を促進しようと計画している。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。