年金受給者でも「確定申告」は必要? しないと「損」する場合もある? 税金が戻ってくるケースを解説
今年も確定申告の時期になりました。会社経営をされている人、個人事業を持たれている人などのほか、会社員でも住宅ローンを組んだなどの理由で、初めて確定申告をした方もいらっしゃるでしょう。 それでは「年金受給者」の場合、どのような場合に確定申告をするべきなのでしょうか。本記事では年金受給者が確定申告をすることで、税金が戻ってくる例をご紹介します。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
年金受給者が確定申告すべき場合とは
まず原則として、「年金」は「所得」の一種である「雑所得」と定義されており、所得税・住民税の課税対象となります。よって、年金しか収入がない人も収入の額によっては確定申告をする必要があります。 ただし、年金受給者には「確定申告不要制度」が用意されており、以下の2条件に両方当てはまる場合は、確定申告が不要になります。 1. 公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象。 2. 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(※)が20万円以下。 ※生命保険や共済などの契約に基づいて支給される個人年金、給与所得、生命保険の満期返戻金など 国民年金、厚生年金、共済組合から支給を受ける老齢年金や恩給、企業年金などの合計額が400万円以上になる場合や、年金以外にもアルバイトなどで20万円以上の所得がある場合は、必ず確定申告が必要になります。 毎年1月頃に日本年金機構から郵送で届く「公的年金等の源泉徴収票」を確認し、公的年金の収入金額の合計額が400万円以下になっているかどうかを確かめましょう。
確定申告で税金が戻ってくるときは?
「確定申告不要制度」の条件に当てはまる方でも、以下のケースなどに当てはまる場合は、各種の控除を受けることができ、確定申告することで税金の還付が受けられる場合があります。 ・昨年、社会保険料や生命保険料を支払っていた 国民年金保険料や民間の生命保険料などを支払っていた場合は、「社会保険料控除」「生命保険料控除」を受けることができます。 ・昨年、医療費が多くかかった(10万円以上) 医療費が年間10万円以上かかった場合は、10万円を超えた分の金額が「医療費控除」の対象になります。また、年収が200万円未満である場合は、総所得金額等の5%を超えた分の金額が対象となります。 ・昨年、災害や盗難の被害にあった 災害や盗難被害にあった場合は、被害を受けた金額相当が「雑損控除」の対象になります。 ・昨年、マイホームを購入・バリアフリー化などのリフォームをした 住宅購入の場合は「住宅借入金等特別控除」、リフォームの場合は「特定増改築等住宅借入金等特別控除」の対象になります。 ・昨年、ふるさと納税や寄付などをした 「寄付金控除」の対象になります。なお「ふるさと納税ワンストップ特例」が適用される場合は、ほかの種類の控除がなければ、確定申告をする必要はありません。 ・昨年のうちに家族構成が変わった 夫婦が死別したり、離婚したなどにより家族構成が変更となった場合、「寡婦控除」が適用され、税金が安くなります。 知らないうちに損をしないためにも、上記のケースに当てはまっている場合は確定申告することをおすすめします。また、確定申告の際には支出の事実などを証明する各種書類を提出することが求められますので、必ず保管しておきましょう。