【弥生賞回顧】コスモキュランダがクラシック戦線に名乗り シンエンペラーは本番で変わり身に期待
ダノンエアズロックの中山適性
一方、好素材の上位人気馬たちの敗戦にはどんな意味があるのか。 2着シンエンペラーは立ち回りでいえば、暮れに比べるとかなり進歩がみられた。だが、直線での走りは集中しきれず浮ついた感じもあり、まだまだ馬自身、全力を出していない。課題である幼さはそう簡単に解決できないかもしれないが、競馬を経験しながら変わってくるだろう。濃い欧州色は皐月賞でこそ発揮する。高速決着への対応は未知数だが、皐月賞での変わり身は期待していい。 1番人気トロヴァトーレは6着。1コーナーまでの位置取り争いで、内にいたシンエンペラーを押し込めようとかなりプレッシャーをかけにいった。この間にシンエンペラーに内から前へ出られ、位置がひとつ下がったのはペースを考えれば痛かった。シンエンペラーを終始マークしていたところに外からコスモキュランダがやってきてしまい、仕掛けがワンテンポ遅れた。ただ、最後の直線は案外伸びず、現状、上位馬とは力差があったようだ。 2番人気ダノンエアズロックは7着。馬体重プラス18kgはトライアル仕様ともとれるが、キング騎手を背に再三好時計を連発した調教内容を踏まえると、物足りなさを感じる。中山の内回りに対応できなかったのか。遅めの流れを考えれば、失速の原因はそこだろう。だとすると、東京替わりで期待しよう。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬中心の文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。
勝木淳