【弥生賞回顧】コスモキュランダがクラシック戦線に名乗り シンエンペラーは本番で変わり身に期待
素直に時計を評価
近年は名前が変わった効果なのか、皐月賞やダービーにつながるレースとして再び注目を集める弥生賞ディープインパクト記念(以下、弥生賞)。今年は6番人気コスモキュランダが勝ち、単勝は3490円、3連単は30万円超えの高配当決着となった。上位人気に推された好素材が崩れたこと、伏兵が勝利したことをどうとらえるのか。皐月賞へ向けて考える点が多いトライアルとなった。 【弥生賞2024 推奨馬】前走タイムは世代屈指の好タイム、複勝率50%データにも該当! SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 今年の弥生賞は1:59.8と2分を切った。皐月賞と同舞台ながら、トライアルはスローペースが定番だ。皐月賞の高速決着はよくあるが、弥生賞が2000m戦になった1984年以降、2分を切ったのはマカヒキが勝った2016年の1回しかない。当時の決着時計は1:59.9なので、今年は弥生賞レコードでもあった。午後に良馬場に回復したばかりの芝は高速馬場とはいえない。時計面だけなら今年の弥生賞は高評価でよさそうだ。 2分を切った16年はマカヒキがダービーを勝った。余談だが、16年弥生賞の3着だったエアスピネルは現在、茨城県の阿見町で余生を暮らしている。先日会い、ニンジンをあげてきた。 コスモキュランダは6番人気と伏兵評価だったが、この時計なら、たちまちクラシック戦線のトップに躍り出たといっていい。とはいえ、京都2歳Sでシンエンペラーに、前走平場でファビュラススターに敗れた。この勝利で一気に評価をあげていいか迷うところだ。 レースは前後半1000m60.4-59.4と落差1秒あるスローペース。実質、残り600m11.7-11.4-12.0の上がり勝負ではあった。皐月賞とつながらない可能性はある。 しかし、コスモキュランダは流れ込んだわけではなく、後方からレースを進め、流れを読んで3コーナー手前から外を動いて押し切った。勝ちを呼び込むというより勝ちにいったイメージで、自力で動いた価値は高い。
ビッグレッドファームと弥生賞
そのレースぶりは父アルアインの皐月賞を想起させた。父は17年皐月賞馬。9番人気の伏兵だったが、前後半1000m59.0-58.8、1:57.8の高速決着を好位からねじ伏せた。小回り特有の緩みない流れが得意だった。 コスモキュランダも弥生賞はスローを動いたが、皐月賞でもアルアインと同じような競馬ができそうだ。母サザンスピードは豪州産で、ノーザンFに輸入されたあと、繁殖セールでビッグレッドファームに渡った。セール当時、母のお腹にいたのがコスモキュランダ。不思議なめぐり合わせを感じる。 生産者ビッグレッドファームは弥生賞通算【3-0-0-0】。08年マイネルチャールズ、12年コスモオオゾラ、そして今年と3戦3勝で負けたことがない。すべてオリンピックイヤーだから不思議。五輪と弥生賞のビッグレッドファームはセットで覚えよう。 先輩たちは皐月賞3、4着に敗れた。コスモキュランダは弥生賞を勝った先輩たちを超えたい。血統のあと押しとめぐり合わせの幸運はある。成し遂げてほしい。