広島土砂災害10年 遺族や住民、教訓を受け継ぐ誓い新た 被災地で追悼行事
広島市で77人が亡くなった2014年8月の広島土砂災害は20日、発生から10年になった。安佐南、安佐北両区の被災地を遺族や住民たちが訪れ、犠牲者を悼んだ。地域の防災に取り組む関係者たちは教訓を受け継ぐ誓いを新たにした。 【写真】慰霊碑に手を合わせる遺族(20日午前2時30分、広島市安佐南区八木3丁目) 安佐南区八木3丁目の広島県営緑丘住宅の慰霊碑前では午前2時過ぎから地元自治会などが追悼行事を営んだ。「8・20」の形に並べた紙灯籠約150個の灯を前に、10人ほどが黙とうした。 三次市から訪れた湯浅吉彦さん(71)と妻玲子さん(66)は、長男の康弘さん=当時(29)=と妻みなみさん=同(28)、みなみさんのおなかにいた孫に手を合わせた。 「新しい道路や建物ができて被災地の風景はすっかり変わったが、10年は早かった。私たちにとってはあっという間」と吉彦さん。玲子さんは「毎月20日が近くなると『来たよ』と声をかけに慰霊碑に来ている。写真の2人は年をとらないけど、私たちはすっかり足腰が痛くなって…」と話した。 広島土砂災害は14年8月20日未明に発生。大規模な土石流や崖崩れが計166カ所で起き、災害関連死の3人を含め、2~89歳の77人が亡くなった。積乱雲の通り道ができる「線状降水帯」が注目され、気象庁が予報に取り組む契機になった。
中国新聞社