便利な「ベンリイ号」に見るホンダのチャレンジ精神! 1955年にアールズフォーク採用!?
横道に逸れますが、1954年にサンパウロ国際レースに出場したホンダ「R125」はガーターフォーク式のフロントクッションでした。1959年にマン島TTに出場した「R142」はボトムリンク式フロントフォークです。ボトムリンク式は同年の「CB92スーパースポーツ」などにも採用されました。 1960年からの世界GP参戦車は、テレスコピック式に落ち着いています。同時期のレーシングマシンと「ベンリイ」のフロントクッションの変遷が興味深いです。 また、お馴染みの「スーパーカブ」は長年ボトムリンク式フロントクッションで、2015年に発売された限定車のリトルカブにも使用しています。 そして現在では「ベンリイ」の仲間、「ジャイロキャノピー」でボトムリンク式フロントクッションが健在です。
他のバイクメーカーは、当時でもフロントフォークはテレスコピック式が定番でした。 エンジンも車体も進歩が著しい1950年代、こんな部分にも独自性を求めるホンダのチャレンジ精神が現れていると言えるのではないでしょうか。 ホンダ「ベンリイJC56型」(1955年型)の当時の販売価格は11万5000円です。 ■ホンダ「ベンリイJC56型」(1955年型)主要諸元 エンジン種類:空冷4ストローク単気筒OHV 総排気量:125cc 最高出力:6.9PS/6500rpm 車両重量:110kg フレーム形式:プレスバックボーン 【取材協力】 ホンダコレクションホール(栃木県/モビリティリゾートもてぎ内) ※2023年12月以前に撮影
柴田直行