「本音を隠さない人」はやっぱり損していた…断言できる“3つの理由”
自分の本音をどれだけ周りに伝えているでしょうか? ありのままの自分をさらけ出している人を見ると、すがすがしく思うかもしれません。ただ、本音を出しすぎるのは得策とは言えません。 【写真】「仕事速いね!」と言われる人が意識している、たった3つのコツ 古代の伝統的なモデルから最新の心理学研究の結果、ストア派をはじめとする哲学や、バリュー投資家の思考まで、膨大な研究結果をひもときながら、「よい人生」を送るための52の思考法をまとめた『Think clearly』(サンマーク出版)より一部抜粋してお届けします。
本音は「どの程度」オープンにすべきか?
あなたは「オープンな人」が好きだろうか? 嫌いだという人はあまりいないだろう。 オープンな人はわかりやすい。これから何をしようとしているか、何を考えたり感じたりしているか、いまどんなことをしていて、腹の内では何を企んでいるかまで、すべて手にとるように読めてしまう。 ありのままの自分を隠そうとしないオープンな人は、隠しごとができない。だからオープンな人とは、親密で心地よく効率のいい付き合い方ができる。 自分の本音をオープンにすることが、世間でこれほど持てはやされるのも無理はない。コーチングセミナーでは「オープンな人付き合い」が必ずといっていいほどテーマになる。 リーダーシップについて書かれた本にはいつも、本音での指導をすすめる章がある。成功の秘訣を扱うブログでも、できるだけ本来のあなたのままで正直であれ、というアドバイスはつきものだ。ピカソの贋作に投資をしても意味がないのと同様に、見せかけだけの人間に時間やお金を投資しても無駄になるだけだともいわれている。 だが、自分の本音を「どの程度まで」オープンにすべきなのだろう? ひとつ例をとって考えてみよう。 あなたは、桁けたはずれにあけっぴろげな性格のリサと、昼食をとる約束をしている。 だが、約束の時間になっても彼女は現れない。二〇分も遅刻してリサはようやくやってくるが、髪は猫にひっかきまわされたのかというほどぼさぼさだ。 彼女はもごもごと申し訳程度に遅刻したことを謝ると、すぐにレストラン中に響き渡る大声で「全然、ランチに出かける気分じゃなかったのよ。ひと昔前に流行ったようなこんなレストランじゃなおさらね」と口にする。啞然とした周りのテーブルの客たちの手がとまる。 するとリサは、ほんの一瞬沈黙したかと思うと、甲高い声であなたの服装を褒めはじめるが、それと同時に、「でも腕時計が全然洋服に合ってないわ。少なくともそのタイプのものは違うわよ」とダメ出しすることも忘れない。 さらにリサはそう言いながらテーブルに身を乗りだし、彼女が来る前にあなたが注文していたグラスワインをさっとつかんで一息に飲みほす。「ごめんなさいね、あたし、とーっても喉が渇いちゃって!」。 前菜が終わると、今度はテーブルに突っ伏して眠り込んでしまい、あなたはほかの客たちの視線の集中砲火にさらされる。五分後、注文したパスタが出されたとたんに目を覚まし、猛獣のようなあくびをしてにやりと笑う。「こうやってパワーを充電しないと調子が出ないのよ」。 リサは指で直接パスタを一本つまみあげ、ソースにからませてから、顔を上向きにして大口を開けた中に落とし込む。「こうやって食べたほうがずっと楽しい」から。 さらに彼女は「誰かに話してとにかくすっきりしたかった」と口走ったかと思うと、前夜に見たまったく意味のない夢についてこと細かに話して聞かせ、その間にお勘定まで頼んでしまう……。 自分の本音をまったく隠そうとしない人を具体的に描き出してみると、だいたいこんな感じだろう。