谷崎潤一郎の小説にも登場する銀座の老舗『ローマイヤレストラン』で食べられるステーキみたいな絶品ローストビーフとは?
●銀座で肉を食べる――という時、何となく鉄板焼やすき焼き、しゃぶしゃぶなどが思い浮かぶかもしれません。でも、ちょっと待った! 銀座にはローストビーフがめっぽうウマい最強の老舗があるのです。
かの谷崎潤一郎の名作『細雪』にはこんな一節があります。 「妙子は銀座まで出かけるなら、話に聞いてゐるニュウグランドかローマイヤアへ行きたいと云ふので、ローマイヤアと云ふことにした」 ステーキみたいな絶品ローストビーフの関連画像 その「ローマイヤア」というのが、何を隠そう今回ご紹介する『ローマイヤレストラン 銀座店』です。 ドイツ人のアウグスト・ローマイヤ氏が、母国が誇る食品を日本に広めようと1921年(大正10年)、ローマイヤ・ソーセージ製造所を創業。豚のロース肉を使ったおなじみの「ロースハム」はなんと彼が発明したものです。1925年(大正14年)には、銀座にドイツレストランをオープン。
以降、さまざまな変遷があり、この『ローマイヤレストラン 銀座店』が新装オープンしたのは2019年のこと。ドイツ料理を中心に、ローマイヤ特製ローストビーフのオーダーカットや、オリジナルのロースハム、ソーセージなどを使った料理を楽しむことができます。
ステーキのように食べ応えのあるローストビーフ
まず、なんといってもおすすめは「黒毛和牛ローストビーフ」(100g2950円)。ロースハムと並ぶ看板商品です。 表面の焼き色と、中の美しいピンク色を見るだけで、素人目にも上質であることがわかります。しかもちょっとびっくりするほど分厚い! ローストビーフって超薄切りが基本だった気がするんですが、これは……! 「直営の販売店でもローストビーフはありますが、それは薄くスライスした冷製の商品となっています。レストランではより美味しく召し上がっていただくため、厚めに切って温めて、ステーキのような形でご提供しています」と教えてくれたのは、ローマイヤレストラン店長の山形秀仁さん。
そもそも、ローストビーフというと、冷たいコールドディッシュをイメージする方がほとんどでしょう。しかし、こちらのはほのかに温かい。そしてこれだけ厚切りなのに、ナイフがすっと通る柔らかさ。まだ食べていないのに、この時点ですでに美味しい。 舌にのせるとしっとりとした歯ざわり。赤身と脂身のバランスがよく上品な味わいながら、噛めば噛むほど脂の甘みがジュワーッと滲み出てくる。そして、肉の赤身のしっかりとした旨味が口中に広がります。「肉ってこんなに美味しいものなのか!」と改めて感動。