三井物産のロゴ

大手総合商社5社の2024年9月中間連結決算が6日、出そろった。純利益は三菱商事、伊藤忠商事の2社が事業の見直しに伴う利益の計上などで増益を確保した。一方、製鉄に使う原料炭などの市況価格の下落が響き三井物産や住友商事、丸紅の3社が減益となった。 伊藤忠がこの日発表した9月中間決算の純利益は前年同期比6・2％増の4384億円。祖業の繊維や売れ行き良好の自動車販売が寄与した機械分野、ファミリマート事業などが好調に推移した。石井敬太社長は決算会見で「年間見通しに対する進捗率は50％。非資源分野での盤石な収益構造に加えて、資産の入れ替えに伴う一過性の利益の積み上げもあり、着実に推移している」と強調した。低迷していた海外の豚肉事業の収益改善が貢献した食料分野も堅調だった。 三菱商事は32・6％増の6180億円で、一過性の利益が業績を大きく押し上げた。グループ会社のローソンがKDDI（au）との共同経営体制に移行。ローソンが子会社から持ち分法適用会社に変わったことに伴う株式の再評価益1225億円や、オーストラリアの原料炭2炭鉱の売却益900億円などを計上した。 一方、三井物産は液化天然ガス（LNG）事業が好調だったものの、原料炭や鉄鉱石の価格下落が響き、9・7％減の4117億円となった。住友商事は北米で鋼管の市況悪化の影響を受けるなど10・9％減の2539億円。丸紅は5・2％減の2381億円だった。航空機リース事業などが好調だったものの米国の食肉事業が振るわなかった。 25年3月期の純利益予想は上方修正した三井物産以外、4社が据え置いた。伊藤忠、住友商事、丸紅が前期よりも増える見通し。（佐藤克史）