厳戒態勢でゴールデビューした13歳・久保の潜在能力
久保がバルセロナに渡ったときのサイズは135cm、35kg。当時もいま現在も身長は同年代の平均サイズで成長しているが、4月に招集されたU‐15代表のインドネシア遠征ではコンタクトプレーで弾き飛ばされる場面が多かった。フィジカルを鍛えてほしいという思いを込めて、森山監督は、当時、こんな言葉を残している。 「鶏ガラというか、手羽先というか。骨に肉がついていない。ボールを持てば落ち着いているし、アイデアも素晴らしい。まずはメシを食え、大きくなれと言いたい」 このときに発した「鳥ガラ」が独り歩きしてしまったことに対しては深く反省している森山監督だが、約1カ月ぶりに見た逸材のプレーの変化には安堵感を隠せない。 「動きの質もプレーの質ももちろん高いけど、今日見た限りでは周囲との連携もよかったと思うし、動きの量もちょっと増えたかな。向こうで1年間、ほとんど試合をしていなかったこともあって、やはり運動量が懸念されていたけど、交代するまでよく走っていた。ここから徐々にコンディションをあげていければいいと思うので、その意味ではポジティブな面が見られたと思いますね」 駆けつけたサポーターから試合後に「タケフサ」と名前を連呼された久保は、照れくさそうにポーズで応えた。母国で再出発の一歩を記したホープは、6月5日からU‐15代表の韓国遠征に参加する。ここでも「特定の選手にフォーカスしすぎないように」という点を要旨とする取材指針が、日本サッカー協会からすでに出されている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)