パリ五輪開会式直前に“同時多発的な破壊行為”発生 “テロの脅威”から市民守った“ネズミ一匹通さない”厳重警備の舞台裏【2024年重大ニュース】
花の都パリに似合わぬ“物々しさ”
パリの街で行われていた警備の態勢について紹介したい。 1つ目に、明らかに日本とは違う警察官の出で立ちだ。 パリの街の警察官は、通常時は数名で見回りする程度なのだが、オリンピック開催が近づくに連れて、常に数十人単位で通りを警戒したり、通行人の手荷物をチェックする様子が見受けられ常に大きな銃を手に持ち警備に当たっていたのが印象的だった。 実は、大会期間中に、イスラム組織ハマスの最高指導者がイランで殺害されたことで、中東情勢が緊迫したこともあって、フランスの治安当局は1日3万人の警察や憲兵を警備にあてていたという。 こうした、警察や憲兵の“見せる警備”もあって、他に大きな混乱は起きなかった。
関係者も常に身分証提示
そして二つ目に、事前に申請の通ったマスコミや住人、関係者などしか通行出来ない通りでも、身分証や許可証の提示が常に求められた。 通常、パリの街では観光客が自由に観光名所を行き来できるが、今回はその名所を利用した会場となっていた。 オリンピックが近づくにつれ、競技会場付近や開会式エリアに入るには「QRコード」を用いて通行許可を得たり、QRコードを持っていてもパスポートの提示を求められる事があった。 ネズミ一匹通さない警戒の一方で、目的地に辿り着けず途方に暮れる観光客の姿も見られた。 初めて競技場の外で行われる開会式ならではとなる、セーヌ川を警備する船も見られた。
「感動」と「安全」の狭間で
“テロの脅威”がささやかれる中、100年ぶりにパリで開催されたオリンピック。 パリでは2015年11月に、イスラム国による同時多発テロが起きており、オリンピックという国家をあげてのイベントの中で、またいつテロが起きてもおかしくないと言う点が心配されていた。 その心配が、まさか開会式当日に“同時多発的な破壊行為”という形で現実の物となり、“交通の中枢”を狙った大規模な“破壊行為”に、我々のような全世界から集まった取材団だけでなく、多くのフランス国民にも影響を受けた。 実は、フランス検察当局によると、期間中にテロ計画3件が未然に阻止されていたというから驚きだ。いかに警備に力を入れていたのかを世界に示す形となった。 次回の2028年にはロサンゼルスで夏季オリンピックが開催される予定となっているが、安全の担保と感動を生む舞台を整える警備は、これからも突き詰めるべきテーマであり、開催国の腕の見せどころでもあると感じた。 【取材・執筆:撮影中継取材部 増子駿一、元FNNパリ支局員 森元愛(関西テレビ)】
フジテレビ,撮影中継取材部