オードリー・タンが語る「頭の中」、大人でもまねできる働き方と学び方
25分間を仕事に全力で集中して5分間休憩するルーチン
■好奇心を絶やさないための「20パーセントの設定方法」 本書の中で何度も語られている、オードリーの「上手な時間の使い方」の実践について、オードリー本人に秘訣を聞いた。 台湾では2020年代から若者を中心に「斜槓族(スラッシュ族)」というスラングが流行している。例えばオードリーのように「プログラマー/起業家/思想家/閣僚」といったように一人で複数の肩書きを持つ人物を指す言葉だ。 オードリーは「職業だけでなく生活にもスラッシュを入れよう」と提言する。 「あなたが今、ある仕事を本業としているプロフェッショナルであるとしたら、本業以外のコミュニティにも自分の時間の20パーセントを割いてみてください。稼ぎを増やすことがその目的ではありません。自分を見つめ直して、興味あることに視野を広げることは新たな人脈や専門知識を得て、自分をより豊かにすることにも結びつくからです」 オードリーによると、「20パーセントの設定方法」は実践する個人のライフスタイルに合わせて決めればよいのだという。例えば彼女は「ポモドーロ・テクニック」をストイックに実践してきた。仕事中の30分間のうち、25分間を仕事に全力で集中して5分間休憩するルーチンを身につけると仕事の効率アップにつながるという。1980年代にイタリアの起業家フランチェスコ・シリロ氏が考案したと言われる時間管理術だ。 「私のようにポモドーロ・テクニックを実践している方の場合、仕事に就いている時間の全体から20パーセントにスラッシュを入れても良いと思います。四六時中働いている方は1週間の中で1日をまるごと仕事以外の時間に使うなど、与えられた社会的役割からいったん自分を引き離すための実践方法は人それぞれに自由です」 オードリーはポモドーロ・テクニックを実践している間、仕事以外の時間に何をしているのだろうか。オードリーは「Anything but work(仕事以外ならなんでも)」とにこやかに微笑みながら答えを返した。