ウクライナとロシアの首脳、トランプ次期米大統領への働きかけ競う
(ブルームバーグ): ウクライナとロシアの指導者は、トランプ次期米大統領への働きかけを直ちに開始し、7日にそれぞれ公に発言した。トランプ氏は、ロシアのウクライナ侵攻で始まった戦争を直ちに終結させるとの公約を掲げている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、ブダペストで開催された欧州連合(EU)首脳会議で記者団に対し、「われわれはこの戦争で公正な結末を望んでいる」としながらも、ウクライナにとって戦争の「迅速な終結は敗北になる」と警告した。
同会議はEU加盟国でウクライナ支援に最も批判的な議長国ハンガリーのオルバン首相が主催した。
ゼレンスキー氏は、トランプ氏の返り咲きが決まった後、欧州の同盟国による支援強化の確保を期待していた。ただ、政治的・財政的負担が増す中で各国首脳のコミットメントを維持するのは既に前途多難な情勢だ。
ドイツのショルツ首相が首脳会議に遅れて参加する事態につながった連立政権崩壊は、ウクライナ支援を巡る対立が一因だった。
ウクライナ領内からロシアを排除するというゼレンスキー大統領の目標について、西側諸国の当局者は予見可能な将来においては実現不可能のようだと数カ月前から非公式に述べており、戦闘終結を望む意向を示唆してきた。
ゼレンスキー大統領は会議で各国首脳に対し「あなた方の一部はウクライナによる譲歩を強く主張していた」とした上で、「それはウクライナとして受け入れられず、欧州全体にとっても自殺行為だ」と強調した。
同大統領はその後記者団に対し、米大統領選の結果を受けてトランプ氏と6日に電話で話した際には、戦闘早期終結の可能性は話題に上らなかったと説明。「これは先のことだ」とし、「彼がそれを終わらせることを望んでいるのは明らかだ」と語った。
ゼレンスキー氏は以前、米国の支援を得て、ウクライナが提示した条件でロシアが交渉せざるを得ない状況をつくり、再軍備や再攻撃のための時間をロシアに与える「凍結された紛争」ような事態を回避したい考えを示していた。