シンプルなシャツにあれこれ「盛り付け」は必要なし。着こなし方で簡単に変化をつける方法【エディター昼田祥子】
前回に引き続き、300枚以上のシャツを買ってきたエディター昼田祥子さんのファッション企画をお届けします。シンプルなシャツの着こなしで、ついやってしまいがちなことを手放したら……? 300枚以上買ってきて分かった、エディター昼田祥子の「シャツ論」とは?
04「盛る」のを手放す自分にあるものを生かしていく
「服捨て」するまで、シャツはシンプルゆえに、何かを足していかないと着映えしないと思っていました。例えば、柄のパンツを合わせてみたり、ネックレスを足したり、スカーフやストールをプラスするなど盛ることが大前提でした。 それが「服捨て」をしていくうちに、なんのために私は盛っているのだろう? という疑問が沸いたんですよね。盛ろうとする分、あれこれ思考を使うことがもったいない気がして、ある日やめてみようと思ったんです。 最初の頃は、ネックレスもせずに出かけることが無防備な自分を曝け出しているようで心許なかったです(笑)。 盛らないと決めてみたら、スカーフの巻き方を考える時間もなくなり、組み合わせを考える時間も減り、あっという間に完成する。すごくラクな毎日が訪れました。盛らないと決めてみると、その分「自分自身」に目がいくようになりました。ヘアアレンジをしてみたり、リップの色を変えてみたり、シャツの襟はどのくらい開け、袖はどのくらいまくるのかという肌見せの分量を調整してみたり。制限をかけてみたら、人はあるもので工夫するようになるんですよね。自分自身と服とのバランスを細かく見ていけるようになりました。 ここに2枚の写真があります。着ているものは一緒で、ヘアとリップを少し変えてみたら印象が変わりました。服や小物に頼らなくとも、自分にあるものを生かすことで変化は簡単につけられます。
05「着て終わり」をやめる 服は材料。調理する意思を持つ
服は材料で、着てからが勝負だと思っています。着たあとにどういうふうに服を調理していくか。鏡の前で、肌をどのくらい出すのか、ボタンはどこまで開けるのか、襟は立てるのかといった細かな部分に「自分の意思」を入れていきます。 同じ材料でも辛いカレーにしたいのか、甘口のカレーにしたいのか、作る人に意思が必要です。なんとなく作ると味が決まらない。服も同じで、「目指すゴール」を決めないとぼんやりした印象になってしまいます。キリッとした感じ、真面目な感じ、ラフでリラックスした感じ、親しみやすい感じ、すっきりシャープな感じ。いろいろありますが、今日はこれ! というゴールに向かって鏡の間で格闘していく時間こそが調理の時間と捉えています。 どうやったらよく見えるかを考え、向き合う時間が、自分を深く知っていくことにもつながると思っています。 (次回に続きます) 撮影(人物)/岡部太郎(SIGNO) 着用、スタイリング/昼田祥子 ヘアメイク/加藤志穂(PEACE MONKEY) 編集/出原杏子
昼田 祥子