「福山雅治が結婚したら」「監督変えろ」株主総会で何を質問してもいいの?
6月下旬の株主総会シーズンが終わり、企業の個人株主として総会に出席された人も多いかもしれない。スポーツやエンターテインメント関係、食品会社など趣味や生活に関わる企業には、その会社の「ファン」として個人が株主になっている場合も多く、今年の株主総会でも会社側に活発に質問する光景がみられた。
積極発言で存在感増す個人株主
ツイッターなどによると、ミュージシャンを中心とした東証1部上場の大手芸能プロダクションであるアミューズでは、所属する人気タレントの福山雅治さんについて、男性の個人株主が、「福山雅治46歳。主力柱である彼が倒れたり、結婚したりしたら株価下落やファン離れの可能性がある。彼が結婚すると言ったら会社はどう反応するのか」といった趣旨の質問を行った。 これに対し、会社側は「21歳デビューで今年で25年。マネージメントといいつつも、支配しているわけではない。そういう話があれば会社としては応援していく」と回答したという。福山ファンは複雑な心境だろうが、福山さんの結婚に関して会場で熱く質問する株主の様子が目に見えるようだ。 スポーツ関係では熱狂的なファンほど手厳しい。プロ野球の阪神タイガースの親会社である阪急阪神ホールディングスの株主総会は6月16日に開かれたが、折しも阪神が絶不調の時期にあたっており、いきおい株主の質問もヒートアップする。 「(球団創設から)80周年だが、はっきり言ってダメ。お客さんも入っていない」「もう岡田(彰布)さんを監督にしてはどうか」といった具合だ。 これについて会社側は「確かになかなかしんどい試合が多くて、心配をおかけしています。現時点で監督(交代)うんぬんは、考えていません」と回答するのが精いっぱいだったようだ。
何を質問してもいいの?
このように株主総会で個人株主が質問することは認められている。会社法で、取締役と監査役などの役員は株主からの質問に対して説明義務を負っているからだ。企業によっては、事前に株主から質問を書面で会社側に送付してもらい、当日、会場での質問に回答する形をとっているほか、事前に質問希望者に整理券を配布して抽選し、それにあたった人を質疑の際に順番に指名する方式などもある。 ただ株主側が何でも質問できるかといえば、そうではない。株主総会の目的に合わない事柄や、説明をすることによって株主や会社、その他の権利を侵害するような場合には、会社側は回答を拒絶することができる。 株主総会の議事の運営方法にもよるが、例えば事前に質問を書面で出していなくても、会場で挙手して発言することが出来る場合にはしてもよい。実際のところ株主総会の質問の大半は、会場での直接の発言で占められているとの見方もある。 配当の引き上げや、株主優待制度の充実など、企業が株主を重視する姿勢は年々強まっている。積極的な個人向けのIRセミナーを数多く実施したある大手企業は、今年の株主総会に出席した株主が前年の4倍に増えたという。企業の経営方針に関心を持つ個人株主が増えることは企業にとっても悪い話ではなく、こうした流れは今後も強まってゆくと見られる。 (3Nアソシエイツ)