宇宙太陽光発電を実証実験 長野県諏訪市の霧ケ峰高原で技術検証 開発利用推進機構
一般財団法人宇宙システム開発利用推進機構(東京都)は6日までの4日間、宇宙空間の太陽光で発電し、地球に送電して利用する宇宙太陽光発電システムで重要な遠距離無線送電技術の実証実験を長野県諏訪市の霧ケ峰高原で行っている。送電装置を搭載した航空機が高度5~7キロを飛行し、地上のアンテナで受電する実験で上空から特定の場所を狙い、電波を集中させる技術の獲得を目指している。4日に実験の様子を報道陣に公開した。 宇宙空間での太陽光発電は天候に左右されず、昼夜の影響もないため、地上に比べ10倍の効率で太陽光を利用できるとされており、地上や月面での利用が期待されている。同機構は経産省から同技術の研究開発を受託し、JAXA(宇宙航空研究開発機構)や東洋大学などと共同で研究を進めており、公立諏訪東京理科大学(茅野市)も関わっている。 実験では航空機で霧ケ峰上空を飛行し、送電装置から地上に向けて送電。ほぼ等間隔で設置した13個の受信機で受信した電波の強弱を測定し、技術の精度を確認した。航空機は東北信地域から山梨県峡北地域の間を旋回し、霧ケ峰上空で地上に電波を送電。地上スタッフが受電結果を測定した。1日10周回、4日間で40回繰り返す。諏訪東京理科大からは4日間で延べ約80人の学生が実験に協力する。 4日の実験も前日に引き続き、中心部でより強い電波を受信する想定通りの速報結果が得られた。地上での測定を統括する東洋大電気電子情報工学科の藤野義之教授は「ここまでの実験は順調。正確な数値を得るには解析が必要になるが、思った通りの結果が得られそうだ」と語った。 同機構の無線送受電技術はこれまでに水平方向の50メートル間やドローン(無人機)を使った上空30メートルと地上の間の実験を行った。航空機を使った今回の実験で技術を獲得し、来年には小型人工衛星を打ち上げて宇宙―地上の無線送受電の実証実験を行う。将来的には気象衛星などが浮かぶ静止衛星軌道(約3万6000キロ上空)に発電衛星を浮かべ、発電した電気をマイクロ派に変換して地上に送り、地上で受けて電力に変換する。40年代後半の商用利用を目指して研究開発が進んでいる。