ノンケ経営者は何を求めて新宿二丁目に来るのか…金融エリート上奏か・肉乃小路ニクヨは知っている「お酒を浪費から投資に変える方法」
ドラァグクイーン、コラムニスト、YouTuberとして活躍する女装家の肉乃小路ニクヨ氏は、慶應義塾大学を卒業後、証券会社、銀行、保険会社で10年以上キャリアを積んだ金融エリートである。世の中の裏と表に精通してきた彼女を掘り下げ、その「新宿二丁目人生」の中から社会で成功するためのヒントを見つけていく。第2回は、彼女が新宿二丁目で行ってきた人間観察について。
ニクヨが見てきた新宿二丁目の変遷
――ニクヨさんは新宿二丁目で人間観察をされてきたと伺いました。 ニクヨ ふふふ。嫌な人間よね、盛り場で人間観察だなんて(笑)。 ――新宿二丁目はゲイやレズビアンの人が中心の飲み屋街というイメージですが、合っていますか? ニクヨ 二丁目も時代とともに変化がありましたね。私が足を踏み入れた90年代はストレート(異性愛者)の人たちは少なくて、ゲイやレズビアンが街の中心。1993年に井沢満さん脚本の『同窓会』というゲイが主要人物として登場するドラマが放映されたこともあって、90年代半ばはゲイカルチャーがアングラカルチャーの中で取り上げられるようになり、ゲイカルチャーが花開きます。それから、90年代後半からレズビアンが勢いづく。けれども、インターネットの普及で出会いの場が二丁目以外にも広がって、ゲイやレズビアンの足が遠のいた時期があったんです。 そうするとバーは商売ができなくなってしまうから、ゲイやレズビアンにフレンドリーなストレートの人も歓迎する「観光バー」が登場して、二丁目が観光地化しました。それが2000年代。次第にいろいろな人が二丁目に集まるようになり、ゲイやレズビアンだけのお店も一部ありますが、今はストレートも、ゲイもレズビアンも楽しめるような店が増えているように感じます。
新宿二丁目にはフリーランスと自営業者が集まる
――ニクヨさんはどんなお店に通っていましたか? ニクヨ 広い年齢層の人が集まるゲイバーでした。当時私は20代前半で、30~50代ぐらいまでの人たちに悩みを相談したり、逆に年齢を重ねるとこんな問題を抱えるんだなということを学んだりしました。 その後、友だちが「Campy!bar」というオールジェンダーOKなお店を開いたので、そこで働かせてもらうようになりました。 ――二丁目に来るストレートのお客さんはどういう方が多いですか? ニクヨ コミュニケーションや気づきや出会いを求めてわざわざ足を運んでいる人が多い印象ですね。普通の居酒屋で飲むよりも高くつくので、サラリーマンでも目的意識の高い人や、飲み代を経費計上できるフリーランスや自営業の人、それと、看護師さんも多いですね。同僚と時間が合わないから一人でサクッと飲みたい。かつ、命を預かるという重い職責とストレスがあるので、人とのコミュニケーションを必要としているのでしょうね。