【『JAPAN HEAVYMETAL FANTASY 2023【BAHAMA STILLALIVE 1963-2023】』レポート】2023年10月29日 at GORILLA HALL OSAKA
1980年代半ば、日本のロックシーンにブームを巻き起こしたハードロック/ヘヴィメタル。のちに“ジャパメタ”と呼ばれることになる、そのムーブメントの中心にいたのは決して大きくないライヴハウス、大阪・心斎橋BAHAMAで研さんを積んだバンドたちだった。そのBAHAMAが開店したのが1963年10月29日。そこからちょうど60年目となったこの日、BAHAMA出身のミュージシャンたちによるアニバーサリーイベントが開催された。集うは、EARTHSHAKER、44MAGNUM、MARINO feat.YOSUKE MIYAKE、PRESENCE、Gargoyle、そしてLOUDNESSから二井原実。日本の音楽シーンに確かな足跡を刻んだレジェンドばかりだ。チケットは発売と同時に瞬く間にソールドアウトし、聞けば出演バンドの関係者ですら枚数制限がかかったほどだったというから、往年のロックファン、メタルファンたちは決して見逃すことができない重要イベントだったと言える。奇しくも、今年のプロ野球日本シリーズはオリックスバファローズ VS 阪神タイガースという59年振りの関西対決ということで、関西の野球ファンは盛り上がり、この日の夜も京セラドーム大阪では熱戦が繰り広げられていた様子。しかし、GORILLA HALL OSAKAも、野球に負けずとも劣らない、歴史に残る、熱ーい一夜となったのだった。 『JAPAN HEAVYMETAL FANTASY 2023』 その他の写真
■ Gargoyle ■
トップバッターは誰が呼んだか“ライヴハウスの帝王”の異名を持つGargoyle。2024年1月には通算ライヴ本数が1,500本を超える予定で、ビジュアル系界隈ではすでにレジェンドと仰がれている存在だ。そんな彼らが先陣を切ることだけでも、このイベントがいかに重量級なものかが分かるだろう。1曲目は「HALLELUYAH」。タイトルは《主をほめ賛えよ》の意味だ。BAHAMA60周年を記念したイベントで、これ以上に相応しいGargoyle楽曲はなかろう。バンドからBAHAMAへの最敬礼でライヴはスタートした。長着に袴、頭部にはカラフルな羽根をまとったジャパネスクなコスチュームに身を包んだKIBA(Vo)を、サポートするのは元メンバーであるKENTARO(Gu)、TOSHI(Ba)、KATSUJI(Dr)の3人。5年振りに黄金のメンバー4人が揃った。KIBA曰く“分かる人には分かる御馳走”の顔触れを待ち望んでいたファンも少なくなかったようで、1階前列では早くもヘッドバンキングが起こり、長髪を振り回す人の姿もちらほら。その様子をきょとんと見ている人もいて、客層の幅広さが見て取れたと同時に、否応なしにBAHAMAが紡いできた歴史の長さを感じたところではある。 5年振りの演奏とはいえ、長らくバンドをともにしてきたメンバーだけにさすがにその呼吸が乱れることはない。KATSUJIのドラムとTOSHIのベースがグイグイと楽曲全体を引っ張れば、KENTAROのフライングVは流麗に音符を紡いでいく。メンバーによるコーラス、シンガロングには安堵感すらあった。KIBAのアクションが心なしか激しめで、意気揚々と感じられたのは、BAHAMA60周年の高揚感に加えて、バックのグルーブに押されたところはあったと思われる。締め括りは「死ぬこととみつけたり」。スラッシュメタル~ハードコアとリズムが変化するタイプで、通り一遍のヘヴィメタルではない。タイトルは『葉隠』からの引用だし、歌詞には《常在戦場 大和魂》《玉砕決戦 大和魂》というフレーズもある。まさにGargoyleというバンドの特徴でもある、和魂洋才を地で行ったナンバーだ。欧米から日本に持ち込まれたハードロック/ヘヴィメタルがいかに進化してきたのかを感じ取れる楽曲とも言える。この日のステージでその演奏を見聴きしたからこそ、そんなことにも想いを巡らせた。日本のロックシーンで大阪・心斎橋のライヴハウス、BAHAMAが果たしてきた役割は極めて大きい。それを示す意味でも、このイベントの露払いはGargoyleが適任だったと言える。 セットリスト SE. 虹融合 01. HALLELUYAH 02. Dragon skull 03. 影王 04. 完全な毒を要求する 05. 死ぬこととみつけたり