米最高裁の保守派判事、トランプ氏裁判の審理辞退せず-自宅に極右旗
(ブルームバーグ): 米連邦最高裁判所のアリート判事の自宅と別荘で極右団体が象徴的に用いるデザインの旗が掲げられたことについて、同判事はトランプ前大統領と議事堂襲撃に関連した訴訟の審理を外れる考えはないと言明した。
この訴訟の審理辞退を求める民主党議員らに対し、アリート判事は2通の書簡で返答。旗を掲揚したのは妻のマーサ・アン・アリートさんだと明かし、「妻は独立心が強い一般市民だ」と指摘した。「妻は自分の行動は自分で決める。妻のそうした権利を私は尊重する」と説明した。
2020年の選挙結果を違法に覆そうとした刑事事件ではトランプ氏に大統領としての免責特権が適用されるのか、米最高裁は6月末までに結論を下す。これとは別に議事堂襲撃への関与で訴追された被告の上訴も最高裁は審理しており、この結果もトランプ氏の裁判に影響を与える可能性がある。
ニューヨーク・タイムズ紙の報道によれば2020年1月、バイデン大統領就任式に至る数日間、バージニア州のアリート判事自宅に米国旗が上下逆さまに掲揚されていた。最近ではニュージャージー州に同判事が所有する別荘で、「天国への訴え」という文字と松の木がデザインされた旗が掲げられた。いずれも20年1月6日に議事堂を襲撃した暴徒が掲げていた旗と同様のもの。
「妻は旗を掲揚するのが好きだ。私はそうではない」とアリート判事はダービン上院議員とジョンソン下院議員に宛てた書簡に記述。「自宅と別荘で旗を掲揚するのは妻独りの責任であり、これまで長年にわたっていろいろな種類の旗を掲げてきた」としている。
上下逆さまの米国旗について、アリート判事は「非常にやっかいな近隣のもめ事」の最中に妻が掲揚したと説明。当時は判事の妻を個人攻撃する内容の看板を庭先に立てる家があったほか、妻に悪質な罵詈(ばり)雑言が向けられたこともあったという。
74歳のアリート判事は最高裁で多数派を形成する保守勢力の重鎮。人工妊娠中絶の権利を認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆した2022年の歴史的判決で、同判事は最高裁としての意見書を執筆した。