「カンブリア宮殿」知られざる番組の舞台裏
放送900回を迎える経済番組「日経スペシャル カンブリア宮殿」。2週にわたり、「ニッポンの小売りの未来…大逆襲が始まった!」をテーマに、「三越伊勢丹ホールディングス」「しまむら」のトップを招いたライブトークをお届け。ニッポン経済のいま、新たなニッポン経済の姿に、村上龍と小池栄子が迫る。 【動画】「カンブリア宮殿」アーカイブ 「テレ東プラス」は鈴木亨知チーフプロデューサーにインタビュー。番組の軌跡や舞台裏など、話を聞いた。
“未来の進化を担う経済人”に共通する資質
――2006年4月17日にスタートした「カンブリア宮殿」。今回で900回を迎えますが、開始当初から変わらない番組のコンセプトをお聞かせください。 「チャレンジの末に成果=結果を出した企業・団体の経営者やトップをスタジオにお招きして、世の中に広く受け入れられている商品・サービスができるまでの道のりを紹介するととともに、企業の戦略、経営者の指針、物事に取り組む際の姿勢などを視聴者の皆さんにご覧いただく。そこは、スタート以来18年間、変わりません。 最近では、栗山英樹さん(2023年12月21日放送)のようなスポーツ関係者を始め、政治家や研究者など、その時々で注目されているゲストもお招きしています」 ――記念すべき第1回目の放送は「トヨタ26万人の人事戦略」と題し、トヨタ自動車副社長(当時)の張富士夫さんが登場しました。当時、MCの村上龍さんとは、番組の方向性について、どんな話し合いが行われたのでしょう。 「トヨタの成功要因を挙げていくと、トヨタにしかできない独自のものと、他の企業・団体でも参考になる普遍的なものがあったので、『カンブリア宮殿』では、そこをごちゃ混ぜにせず、分けて紹介するということを話し合いました。これは、今も続く番組の基本方針です。 村上さんが作家ならではの視点で企業の本質に迫るところが、他の経済番組とは一線を画しているところ。視聴者目線でゲストに問いかける小池栄子さんの存在も大きく、こちらのコンビもスタート当初から変わりません」 ――ゲストがトップを務める企業・団体の取り組みをVTRで紹介しながら、村上さん、小池さんとトークを展開。村上さんの「編集後記」で締めくくるという番組のフォーマットも、18年間変わりません。現場は何人のスタッフで、どれくらいの期間取材するのでしょう。 「リサーチを行う班、取材する班、収録に向かってVTRなどを準備する班という具合に、常時10班、1班4~5人くらいのスタッフが同時進行で稼働しています。 収録は2週間に1回。スタジオでのトークをもとに追加取材などを行って、取材開始から放送まで2~3~4カ月ほどかかる場合もあります」