犬スポット訪問記(3)「群馬県・犬塚峠」“イヌゾー”と日本酒と
「犬塚峠」の歴史ロマンを求めて
ところで、犬が背負ってきたという「皇大神の大麻札」を祀った祠が今もあるというのだが、それがどこだか何人もの地元の人に聞いてもどうもはっきりしない。ひょっとして、伝説のロマンを守るためにあえてあいまいにしているのかも知れないな、とも思う。だから深く追求するのはやめにした。一つ言えるのは、現・大津交差点の一角の丘の上に、小さな古い神社があるということだ。ここには、なかなかユニークな顔立ちの、イヌゾーならぬ狛犬がいた。
また、イヌゾーの裏手に、大正時代に僻地医療機関として開業した大きな病院がある。その創業家は「犬塚さん」一族だ。先代がイヌゾーの建立に尽力されたとのことである。件の犬を可愛がり、手厚く葬った村人の末裔が今も犬塚姓を名乗り、地元の名士として慕われている。そして、すぐ近くで「犬塚」を守っている。これは一種の歴史ロマンである。
最後に、どうしても当時の「峠」の名残を見つけたかった。四叉路から沼田方面へ国道(バイパスではない方)に入ってしばらく歩くと、いくつかそういう風景を拾うことができた。国道からさらに脇の旧道に入って沢沿いの急坂を下ると、群馬大津駅である。