引退の田中史朗、ジョセフHCの指摘を胸に「厳しいコーチ」へ…担当記者「労う」
ラグビー元日本代表SHでW杯3大会に出場した田中史朗(東葛)が24日、都内で会見し、涙ながらに今季限りで現役引退することを表明した。 * * * * * 昨夏の日本代表戦、W杯フランス大会で田中史朗はスポーツ報知に特別評論「桜戦記」を寄稿した。その担当を務めた記者は、1次リーグ最終戦アルゼンチン戦の前に、現地でゆっくり話をする時間を設けてもらった。待ち合わせたナントのカフェに来た田中は汗だく。聞けば忙しいスケジュールをぬって、ジムで体を動かしてきたという。「大丈夫です」と言いながら、太ももはけいれんしていた。自分に厳しく追い込む姿は、かつて群馬・太田の三洋電機(現埼玉パナソニックワイルドナイツ)のグラウンドで、「呼吸が苦しくなるように」と、あえてマスクをしながら練習していた姿と何も変わっていなかった。 39歳になるシーズンを前に、肉体的な変化を感じて将来のことを考えていたのだろう。13年のハイランダーズ(ニュージーランド)加入時の監督で、19、23年W杯の日本代表ヘッドコーチ、ジェイミー・ジョセフ氏に「将来的に代表レベルのコーチをしたい。どう思うか」と尋ねたと明かしてくれた。ジェイミーの答えは「いい選手だけど、まだいいコーチにはなれない」。恩師らしい、愛のある、的確な指摘を受けたという。 その指摘も参考に、自ら目標に掲げた「厳しいコーチ」に向かっていくのだろう。ただ、まだ今季の試合は残っている。「お疲れさまでした」は、残りのシーズンをフミさんらしく駆け抜けた後で言わせてください。(19~22年ラグビー担当・大和田佳世)
報知新聞社