藤川球児新監督「力のないベテランは必要ない」その知られざる真意とは…盟友・下柳剛が明かした「男の覚悟」
藤川球児新監督は「批判や苦情に対する免疫はある」
阪神はシーズン終盤粘りを見せたものの「アレンパ」はならず。ならばと「日本一アレンパ」を目指したもの、本拠地・甲子園で行われたCSファーストステージでDeNAに2連敗し、2024年シーズンを終えた。そんな失意さめやらぬ中、岡田彰布監督から新たにバトンを引き継いだのが藤川球児新監督だ。 監督就任会見では「力のないベテランは必要ない」と厳しい物言いが話題になった。でもこれは、彼なりの所信表明だ。 新監督は俺に、「現役時代から長いこと一緒にやっていたベテラン選手たちに、身近に感じてくれるのは嬉しいのだけれど、監督になったからには立場を明確にしなければならない。だからあえて厳しめの言葉を使った。シーズンを戦う上でベテランの力が必要になることは絶対にある。そのことは重々承知のうえで、監督として選手と一線を画すために必要な言葉だった」と言っていた。 実際、その後の秋季キャンプでもベテランには厳しい声掛けをしているらしい。選手と一定の距離を置くための方策であることには変わりない。その証拠に節度は保っている。ヘッドコーチを置かないのも強い決意の表れだろう。選手と監督の間で、様々な話がヘッドコーチで止まったら困る。責任の所在はすべて自分のところに来るように風通しをよくしたい狙いがよく見える。監督が全てを受け止めるのは当然のようで難しい。時と場合によっては監督と選手の間に緩衝材となる存在がいたほうがいいこともある。 しかし、なにせ藤川監督自身、阪神タイガースで育った人材だ。だから「批判や苦情に対する免疫はある」と、堂々と自分に話してくれた。純粋に強いと思う。また、それだけの覚悟を持って監督を引き受けたことがよく分かった。 話してみても現役時代から変わらないし自然体。監督になってからといって、特別変わったことはしないと思う。調子のよさを引き出すことには気を配るだろう。でもだからといって甘いことはしないだろうけど。 引退後、NHKなどで解説してきたし、もともとボキャブラリーは豊富。きっと今回の監督就任会見のように、適材適所で言葉を使い分けることができる。選手に説明すべき時はちゃんとかみ砕いた言葉を使うだろうし、その手腕に期待したい。 プロフィール 長崎県出身。1990年ダイエーにドラフト4位で入団。1996年、日本ハムへ移籍。先発・中継として活躍し、60試合以上登板が4度という鉄腕ぶりを発揮した。2003年に阪神へ移籍し、黄金期の中心ピッチャーとして9年で5度の二桁勝利。2005年には史上最年長で最多勝を獲得した。2013年の現役引退後は解説者として活躍する一方で、釣りやアウトドアなど趣味をいかした番組にも多数出演。 柳に風【下柳剛公式チャンネル】https://www.youtube.com/@yanaginikaze ………… 【つづきを読む】『主砲・大山の「FA宣言」で新生・藤川阪神に暗雲…日本一奪還に向け、来季の戦い方を下柳剛が徹底解説』
伊藤 亮(編集兼ライター)