「相続はさせない」「見合いで通帳持参」難しいシニア婚活の的外れ感 亡くなった前妻の話ばかり「さみしい」連発
「赤の他人の貯金通帳を見るのって初めてだったから、ドキドキしちゃいました。じっくり見て、1、10、100、1000、10000……と数えるのもはしたないし(笑)。『はぁ』と言ってチラ見して、視線を逸らしました。土地の権利書は、開きもせずにお返ししました」 さらに、こう続けた。 「ティーラウンジで会うなり、ナフタリンの臭いが鼻をついたんです。おそらくタンスに吊るしてあったスーツを、お見合いのために朝ひっぱり出してきたんじゃないでしょうか」
これは、シニアの婚活ではよく聞く話だ。 ナフタリン臭だけではない。クリーニングから戻ってきたスーツをそのままクローゼットにしまい込み、それを着てきたときの石油臭。しばらく着ていなかったスーツをクローゼットの奥から出してきたときのカビ臭。 シニアを対象にした婚活パーティでは、パーティ会場全体にこれらの異臭が漂っていることがある。 仕事をリタイアすると、スーツを着る機会もなくなる。婚活を始めることになったら、まずはスーツの臭いをチェックしておいたほうがよい。
また、先述した財産相続の話もそうだが、お見合いのときにお金の話をするのは、御法度。どのくらいの収入があるか、財産があるかを相手に伝えるのは、結婚話が具体的になってからのことだ。 もちろん、まさえはかずおに“交際辞退”を出した。 ■前妻に未練たっぷりのシニア 結婚歴のないみやこ(59歳、仮名)が、離婚歴のあるみつのり(63歳、仮名)とのお見合いを終えて、“交際辞退”の連絡を入れてきた。 「今日の方、奥様を亡くしてから、まだ半年しか経っていないというんですよ。それで、もう婚活するのも驚きなのですが、話をしている内容が、『毎日1人で食事をするのはさみしい。生活をしていても張り合いがない』と、『さみしい』を連発していたんです」
さらに、みやこは続けた。 「死んだ奥さまは、家事が得意で料理上手。家庭的な人だったそうです。私、どちらかといえば、家事も料理も苦手です。家庭的な奥さんと比べられるのは嫌だなと思ってしまいました」 話をしていてもつまらなく、時間が経つのをとても長く感じたそうだ。そこで、45分を過ぎたあたりで話の切れ目を見つけ、「では、そろそろ」と、みやこはお見合いを切り上げようとした。 そこでお見合いは終了となったのだが、2人でティーラウンジを出ると、みつのりが言った。