【イベントレポート】台湾映画「娘の娘」シルヴィア・チャンらがQ&A登壇、監督は母との会話から脚本を発想
第37回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品されている台湾映画「娘の娘」が本日10月29日に東京・丸の内TOEIで上映。キャストのシルヴィア・チャン、カリーナ・ラム、ユージェニー・リウ、監督のホアン・シーがQ&Aに登壇した。 【動画】シルヴィア・チャン、カリーナ・ラムらが共演した台湾映画「娘の娘」予告編はこちら 本作は、台北で暮らすジン・アイシャが、体外受精のため同性のパートナーと渡米した娘ズーアルが交通事故に遭ったという報せを受けてアメリカに行くところから始まる。亡くなったズーアルたちの受精卵の保護者となり、代理母を探すのか、放棄するかの選択を迫られるアイシャ。同時に彼女は、若い頃にニューヨークで生み、里子に出したもう1人の娘エマと対峙することになる。シルヴィア・チャンがアイシャ、カリーナ・ラムがエマ、ユージェニー・リウがズーアルを演じた。 主演のシルヴィア・チャンは「今日は2人の娘を連れてまいりました。私は平等にこの2人を愛しています」と挨拶する。「台北暮色」で知られるホアン・シーが、監督第2作となった「娘の娘」を企画したきっかけを問われると、「『台北暮色』を撮り終わってアメリカのロサンゼルスに滞在することになったとき、母に『ちゃんと保険をかけたの? アメリカで車なんて運転したらとても危ないから』と言われました。私も、もし事故に遭ったら・起こしたらどうしようという恐怖があり、そういった思いが脚本の内容にも関係しています」と説明する。そして「もし私が死んだら母はどうするんだろう?と発想したことから脚本がスタートしました」と制作の経緯について語った。 カリーナ・ラムは、本作の脚本について「最初に読んだとき、エマは空想上の存在なのではないかと思った。とてもチャレンジングな役だと思ったけれど、気負わず、普段と変わらないように“普通の人間”として演じていきました」と回想する。ユージェニー・リウは「この映画を観るのは2回目だったのですが、1回目に観たときよりも感情が込み上げてきました。ズーアルは死んでしまうけれど、母親と姉の愛情を十分に感じることができる感動的な作品でした。監督に深く感謝したいと思います」と語った。 観客からの「最初のほうはアイシャとエマの関係があまり語られないが、後半になるにつれて彼女たちの心理的なわだかまりが見えてくる。このようにだんだんと表現するようにしたのはなぜですか?」という質問には、ホアン・シーが「アイシャにとってエマは、ずっと頭の中にあり続けた存在。客観的に描くのではなく、アイシャの中にあり続けたという(ことがわかる)ように描きました」と回答する。また、エマのキャラクター造形に関して聞かれたホアン・シーは「カリーナ・ラムさんの素晴らしい演技と同時に、デザインを担当する人たちがキャラクターを作り上げるために工夫しました。エマが着ている英字Tシャツも意図的にデザインしました」と、“Not selfish once in a while”と書かれた衣装にも言及した。 第37回東京国際映画祭は11月6日まで東京の日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区で開催。 (c)Sun Lok Productions Ltd