寝台特急「北斗星」来年3月廃止へ ── どんな列車か振り返る
上野駅から札幌駅を結ぶ寝台特急「北斗星」が、来年3月で廃止となることが明らかなりました。北斗星とはどのような列車でしょうか? 北斗星は、青函トンネルが開業した1988年に運行を開始したブルートレインです。東北本線、いわて銀河鉄道線、青い森鉄道線、津軽線、海峡線、江差線、函館本線、室蘭本線、千歳線と9路線を経由し、約16時間かけて東京と北海道を結びます。
車両はブルートレイン用としては標準的な「24系25型」と呼ばれる客車を改造し、個室中心とした設備へ更新されています。現在は12両編成で運行されており、A寝台個室は1人用の「ロイヤル」と2人用の「ツインデラックス」、B寝台個室は1人用の「ソロ」と2人用の「デュエット」で構成されている他、解放式B寝台に扉を付けた「Bコンパート」も設定されています。また、パブリックスペースも充実しており、シャワー室やロビー室、本格的なフレンチや懐石を味わえる食堂車「グランシャリオ」など、豪華列車の先駆けとして、当時としては画期的な設備が整えられました。
JR北海道とJR東日本が主体で運行されており、上野~青森はJR東日本所属のEF510型電気機関車、青森~函館はJR北海道所属で青函トンネル走行用の保安装置を装着したED79型電気機関車、函館~札幌はJR北海道所属のDD51型ディーゼル機関車となっています。 関東から北海道を結ぶブルートレインの全盛期には、北斗星が定期列車で3往復が運行されていた他、多客時には「エルム」と呼ばれる開放式B寝台のみの臨時列車も運行され、一時期は「カートレイン北海道」と呼ばれるマイカー輸送用貨車付きの寝台列車も運転されていたこともありました。1999年には、北斗星1往復を置換える形でJR東日本は同区間に全車個室A寝台の新型寝台特急「カシオペア」を投入します。
九州方面の夜行列車の廃止ラッシュの中でも根強い人気を誇っていた北海道方面の夜行列車ですが、2008年になると深夜に行われる青函トンネルの北海道新幹線開業に向けた工事に伴い、北斗星は1往復に減便されます。また、ベースとなった24系25型客車やDD51型ディーゼル機関車といった車両の老朽化も目立ち始めてきます。 そして2015年3月、新幹線の新青森駅から新函館北斗駅への延伸による工事や試運転が本格開始されることで共用区間となる青函トンネルでの運行時間を確保することが難しくなった他、車両の老朽化も相まって定期運行終了が決まったとされています。今後は、多客時などの臨時運行が予定されています。