多数の戦闘機を搭載し初来日!イタリア空母「カヴール」を現地撮 寄港の背景にある中国&ロシアの脅威
史上初の寄港
8月22日、海上自衛隊横須賀基地にイタリア海軍の空母「カヴール」が寄港した。イタリア海軍空母の来日は初となる。イタリア海軍の来日は’23年6月に来日した多用途哨戒艦「フランチェスコ・モロジーニ」が史上初の寄港となったが、今回はそれに続き空母などの寄港が実現した。 甲板にずらりと並ぶ戦闘機……初来日の空母「カヴール」を接近撮!【写真】 「カヴール」は全長236メートル、横幅39メートル、喫水8.7メートルと、空母として改装予定の海上自衛隊の護衛艦「いずも」に近い諸元となっている。 「カヴール」は6月1日にイタリアのターラント港を出港し、6月23~28日にシンガポールに寄港、7月12日から8月2日の間にオーストラリアで開催されたオーストラリア空軍主催の多国間演習「ピッチ・ブラック24」に参加した。この演習は2年に1度開かれる大規模演習である。そして演習を終えて8月22日に横須賀へ寄港したのだ。寄港の目的は物資補給や部隊交流などが主である。 「カヴール」の飛行甲板はアメリカの空母や先述した護衛艦「いずも」などと異なり、スキーのジャンプ台のような勾配が設けられており、独特の形状が目を引く。 また、甲板上には航空機がズラリと並んでいた。MH-90Aヘリ2機をはじめ、F-35BライトニングⅡ戦闘機8機(1機は空軍機)、そして日本への来日は珍しい機体となったAV-8BハリアーⅡ攻撃機6機が搭載されていた。 これらハリアーはどれも単座式(乗員1名)だが、1機だけ複座式(乗員2名)のTAV-8BハリアーⅡの姿を確認できた。F-35BやハリアーⅡはV/STOL機という、垂直・短距離離着陸が可能な機体となっており、導入から30年弱が経過したハリアーⅡと最新鋭のF-35B戦闘機という時代を超えた共演を見ることができた。 「カヴール」は午前9時半ごろ、海上自衛隊横須賀音楽隊による歓迎演奏の中、横須賀基地に接岸。 その後行われた歓迎式典で第1護衛艦隊群司令の沢田俊彦海将補が歓迎の挨拶を行い、「海自とイタリア海軍は自由で開かれたインド太平洋理念の下、基本的価値や戦略的利益を共有する信頼できる必然のパートナーである。イタリア海軍のインド太平洋地域への関与強化は地域の平和と安定に寄与し、既存の秩序維持に直結する」と述べた。 イタリア艦隊航空部隊司令官ジャンカルロ・チャッピーナ准将やジャンルイジ・ベネデッティ駐日イタリア大使らの挨拶の後、記念品の贈呈や記念撮影が行われた。 今回、「カヴール」と共にフリゲート艦「アルピーノ」が横須賀基地に寄港し、8月25日にはイタリア海軍の練習帆船「アメリゴ・ヴェスプッチ」が東京国際クルーズターミナルに寄港。イタリア海軍の艦船が3隻も日本へ展開することになる。「カヴール」「アルピーノ」共に8月27日に横須賀基地を出港し、その後は日本を含めた多国間演習に参加する予定だ。 中国やロシアなどの海洋進出を念頭に置いた今回の寄港。自衛隊のNATO加盟国などとの共同訓練は陸海空を問わず今後も実施していく見通しで、アジア太平洋地域の平和と安定は多くの同盟国と共に構築されつつある。 取材・撮影・文:有村拓真
FRIDAYデジタル