池田勇太が1打差5位スタート 手術で腕の感覚狂い変えたグリップが「功を奏した」【男子ゴルフ】
◇4日 男子ゴルフ 日本プロ選手権第1日(岐阜県可児市、富士カントリー可児C志野) プロゴルファー日本一決定戦が開幕した。永久シードまであと4勝の通算21勝を挙げながら、顎(がく)関節症の影響で昨季は賞金シードを落とし、この試合が手術からのレギュラーツアー復帰2戦目となる池田勇太(38)が66で回り、5アンダー。首位まで1打差の5位と好スタートを切った。6アンダーの首位には、蟬川泰果(23)=アース製薬、清水大成(25)=ロピア、金谷拓実(26)=ヨギボー、杉浦悠太(22)の若手4人が並んだ。 「少しずつ振れるようになってきた。ミズノオープンが6~7割なら、今は8~9割まで来ている」。池田は気持ちよさそうに汗を噴き出しながら振り返った。レギュラーツアーは5月下旬のミズノ以来。しかも、ベテランには厳しい暑さの中で、首位まで1打差で初日を終えたのだから、機嫌が悪いはずはない。 7バーディー、2ボギーの結果を支えたのは、アイアンだという。手術・治療によって、腕の長さも感覚も変わってしまい、バッグに入れるクラブ選びにも工夫を凝らす。今週はバックラインのないグリップにそろえてきた。バックラインはグリップの背側(裏側)にあるゴムの突起部分で、正しく握るための目安になる。池田はゴルフを始めたときからラインの”ある”グリップを愛用していたが、手がラインに合わなくなってしまい、人生で初めて”ない”タイプにした。「それが功を奏した」という。 今季はシード権がないだけに、21勝の実力者といえども、多くの苦労を強いられている。2週前の大会では、ウエーティング出場(欠場者が出たときの繰り上げ)の可能性にかけて会場で待機したが、空振りに終わった。下部ツアーには2試合出場し、若手たちに混じってプレーした。 ただ、そんな状況にも気持ちは前向きだ。「ウエーティングでは、システムの改善点を感じたので、運営側に言った。下部ツアーの若い子たちも、うまい下手があって面白い。僕はもう、あそこには追い付かないが、僕は僕のゴルフをすればいい。いい練習をさせてもらった」 ツアー初優勝は、2009年のこの大会だった。その年は合計4勝し、池田時代の幕開けを告げた。「もう古い話ですよ」と照れるが、15年の歳月をへての大会2勝目となれば、これ以上ない復活劇となる。
中日スポーツ