国枝慎吾、村田諒太、石川佳純……2023年引退アスリートたちの「最後の言葉」
■空手:喜友名諒
3月に引退会見を行ったのは、空手発祥の地である沖縄県出身の喜友名諒。全日本選手権では前人未到の10連覇。世界選手権も4連覇を達成し、東京オリンピックで初めて採用された空手男子「形」で金メダルを獲得。沖縄出身者としては、1972年の日本復帰以来、初の五輪金メダリストとなった。 そんな「空手界のキング」が引退会見で口にしたのは、空手の本家本流である「沖縄の空手」を世に広めたかったという積年の悲願だった。 ―– 「メディアの方々にも、東京オリンピックに向けては何度も沖縄に足を運んでいただいて、自分たちの稽古を報道していただきました。そのおかげで、空手をまだ知らなかった方々や子どもたち、応援してくれる方々にメディアを通して自分たちが何を目指しているのかを伝えることができました」 ~2023年3月17日、喜友名諒引退会見より ―–
■ボクシング:村田諒太
―– 「ボクサーとしては引退ですが、これは引退という名のスタートだと思っています。よりよい社会をつくるために、よりよい未来をつくるために、これからも皆さまと何かご一緒してくれればと思っています」 ~2023年3月28日、村田諒太引退会見より ―– 2012年のロンドン五輪ボクシング男子ミドル級で金メダルを獲得。その後、プロに転向してWBAミドル級で世界王者に。日本人選手では初めてアマチュアとプロの両方で世界の頂点を極めた村田諒太が3月28日、現役引退会見に臨んだ。 「闘う哲学者」とも呼ばれた男は、去り際にも思慮深い言葉をいくつも並べた。例えば、「ボクシングで何を証明できるか」「強さとは何か」という問いに対してはこんな言葉を残してくれた。 ―– 「強さの答えは出ませんでした。自分がボクシング人生で気づいたことは、自分が思ったよりも『強く』、思ったよりも『弱く』、思ったよりも『美しい』部分もあり、『醜い』部分もあった。そういった自分自身と向き合うこと。美しくもあり、醜くもあり、強くもあり、弱くもある。そういったものを見せてもらう旅がボクシングだった」 ~2023年3月28日、村田諒太引退会見より ―–