「水槽に手を突っ込んで熱帯魚を取りだし、醤油をつけてパクッと食べた」上皇さまの“豪快”な横顔《旧皇族が証言》【きょう91歳】
熱帯魚をパクリ
敗戦後の昭和22年、伏見宮家をはじめ宮家が一斉に皇籍を離脱しましたが、そのすぐ後も、上皇さまと千葉にあった御料牧場に1泊して乗馬をしました。一緒に風呂にも入りました。 上皇さまは子供のころから動物がお好きで、高等科時代は馬術部、馬は皇居にもたくさんいました。しょっちゅうポロをしていて、お誘いの電話が頻繁にかかってきました。途中から私がゴルフにハマってしまい、お断りを続けたらお誘いの連絡が来なくなってしまいましたが……。 上皇さまといえば、ハゼのご研究でよく知られていますが、ご成婚の前に一度、御所の水槽で飼っている熱帯魚を見せてもらったことがあります。金魚くらいのサイズの小さな熱帯魚でした。2人で見ていたら、上皇さまが突然、「食べると美味しいんだよ」とおっしゃって、侍従に醤油を持ってこさせたのです。私は「熱帯魚は観賞するものではないのですか」とお伝えしたのですが、上皇さまは構わず水槽に手を突っ込んで、1匹を取りだすと、醤油をつけてパクッと食べてしまったんです。そして「きみもどうぞ」と勧めるものですから、断るわけにもいかず、同じようにして食べました。美味しい、まずいなどと言っていられる状況ではなかった(笑)。生きた魚が喉を通っていくのが動きでわかりました。 ※本記事の全文は「文藝春秋 電子版」に掲載されています(「 皇太子明仁 日光疎開の思い出 」)。全文では、学習院で戦争ごっこをしたエピソード、皇族の特殊な家庭環境、伏見氏が感じる上皇さまの「覚悟」などについても語られています。 この特集では、昭和の忘れがたい人物100人の姿を、意外な著名人、親族が紹介しています。 ・「 佐藤栄作 祖父の笑い声 」阿達実花 ・「 後藤田正晴 質問いくぞ。いいか 」的場順三 ・「 竹下登 踊るおじいちゃん 」DAIGO ・「 金丸信 変幻自在のカメレオン 」田﨑史郎 ・「 本田宗一郎 野人のパワー 」本田博俊 ・「 三笠宮崇仁 おじいちゃまの快哉 」彬子女王
伏見 博明/文藝春秋 2025年1月号