ホンダ“ワンダー”「シビック」、1.5Lハッチバックが99.8万円~登場【今日は何の日?9月23日】
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、ホンダの人気コンパクトカー「シビック」の3代目、愛称ワンダーシビックのハッチバックが誕生した日だ。1ヶ月後にセダン、シビックシャトル(ハイトワゴン)が追加されて3つのボディタイプが設定されたが、タイプごとに最適設計することでそれぞれの個性を引き立たせることで人気を獲得した。 TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型シビックのすべて、歴代シビックのすべて ■3代目シビックの先陣を切りハッチバックが登場 ホンダ3代目シビックの詳しい記事を見る 1983(昭和58)年9月23日、ホンダの3代目「シビック」、愛称ワンダーシビックの3ドアハッチバックがデビューした。1ヶ月後には、セダン、シビックシャトルと個性的豊かなバリエーション展開を進め、やや人気が減速した2代目から引き継いだ3代目は、シビック人気を回復させた。 初代シビックは、CVCCエンジンを搭載し世界にアピール 1972年に誕生した初代シビックのキャッチコピーは、“俊敏なベイシックカー、世界の街にスタート!”で、当初から世界市場に進出することを前提にした世界戦略車だった。 2ドアファストバックのコンパクトカーながら、当時まだ珍しかったFFレイアウトによる余裕の室内空間を確保した上で、軽快な走りと低燃費を両立させヒットモデルになった。 さらにシビックの名前を世界中に広めて人気を決定的にしたのは、翌年登場したCVCCエンジン搭載モデルだ。CVCCエンジンは、当時世界一厳しい米国の排ガス規制(通称:マスキー法)に世界で初めて適合した、世界中で注目された低排ガスエンジンである。この初代シビックが、ホンダの4輪事業の成功、および北米市場成功の布石となったのだ。 ひと回り大きくブラッシュアップした2代目“スーパーシビック” 1979年に初めてのモデルチェンジにより、2代目シビックが登場。基本的には初代のキープコンセプトだが、ボディが拡大され“スーパーシビック”を名乗り、初代のブラッシュアップが図られた。 ひと回り大きくなったボディと厚みあるバンパー、メッキ枠の中に配した丸目ヘッドライトなど初代のイメージをキープしながら、より上質感を漂わせるフォルムに変貌。搭載エンジンは、1.3L直4 SOHC CVCCエンジン、および最高出力80psと85psの1.5L直4 SOHC CVCCエンジンが用意された。 2代目シビックは、初代をブラッシュアップしたことが売りだったが、他メーカーのコンパクトカーの追い上げも厳しくなり、やや新鮮味に欠けた2代目は初代のような人気を得られなかった。 3つのボディスタイルで人気を回復した3代目“ワンダーシビック” 3代目“ワンダーシビック”は、ロングルーフのビュレットフォルムを基本として、ハッチバック、セダン、ハイトワゴンの3つのボディタイプごとに異なるプラットフォームを使い、最適設計をしているのが最大の特徴だ。 1983年のこの日に登場した俊敏な走りの3ドアハッチバックは、先代よりも全高を100mm下げ、全幅を50mmも広げたワイド&ローのスマートなスタイル。1ヶ月後にデビューしたセダンは、広い室内空間とトランクルームを確保したモダンな3ボックススタイル。ユーティリティが求められるシビックシャトルは、ハイトワゴン風のスタイルであり、同じシビックシリーズにはとても見えない個性的なモデルに仕上げられた。 1.3Lと1.5Lの4気筒SOHCのキャブ仕様および1.5Lの燃料噴射仕様の3種のエンジンは、いずれもホンダらしくパワフルで燃費も優れていた。ハッチバックの車両価格は、ベースグレードが79.8万(1.3L)/99.8万(1.5L)、当時の大卒の初任給は13万円(現在は約23万円)程度だったので、単純計算では現在の価値で141万円/164万円に相当する。 やや人気が減速した2代目を継いだ3代目は、豊かなボディバリエーションで人気を盛り返したのだ。 ・・・・・・・・ 3代目シビックは、ユーザーの多様性に応える形で様々なバリエーションのモデルを個別のプラットフォームで作ることで、それぞれの個性を引き立たせた。開発効率の向上やコスト低減のためにプラットフォームの共通化や部品の共用化が当たり前の現在では、ちょっと考えられない贅沢なクルマづくりだ。 毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。
竹村 純