同級生が描いた漫画にまっすぐ目を見て「つまらないね」…「それで完全に嫌われてしまって」漫画家・榎屋克優がトガりまくっていた20歳のころ
18歳でヤングジャンプ月例賞受賞、賞金の使い道は
――『日々ロック』で描かれているバンドシーンには、当時の経験が活きているのでしょうか。 日々沼がスコップを持って舞台に立つシーンがあるんですけど、あれは実際にモデルがいます。原作に登場する「犬レイプ」というバンドも、実際にはやっていませんが、先輩が犬を連れたバンドをやりたいんだよねって言っていたアイデアをもらいました。 パワフルな先輩がたくさんいたんですよ。急に旅行くぞ!と言われて他県まで自転車で出かけて、ホームレスの方にスペースを借りて昼寝させてもらったり。ほかにもノーフューチャな人とたくさん出会ったので、漫画に没頭はできなかったけど結果的に役に立ったことは多いと思います。 ――漫画の投稿も継続していたんですよね。 「ヤングジャンプ」の月例賞に出していました。あとは大学に入学する少し前ですが赤塚賞も。最終選考とかまで残って、雑誌に小さくカットが載ったのを覚えています。で、うすた京介先生とかからコメントをもらえたりして。 ――ちなみに、厳しいご両親は漫画家を目指すこと反対はしなかったのでしょうか。 小学生時代からずーっと言っていたので、諦めてたんじゃないですかね。18歳のとき『サラリーマンの死』という作品で「ヤングジャンプ」の月例賞で準優秀賞をとって、母親に電話したら泣いて喜んでくれました。でも、次の年に『あいす』で準グランプリを取ったときは、「へー賞金いくら?」って(笑)。90万円の入金があると伝えたら、後日「50万円はいただきました」って連絡が来ました。学費に充ててくれたんですけどね。 取材・文/関口大起 写真/井上たろう