卓球・張本智和「妹が頑張っているから僕も勝ちを重ねられている」50年ぶり快挙の張本美和
ロサンゼルス五輪での兄妹金メダルを目指す
2歳で卓球を始め、常に5歳上の兄・智和(21歳)の背中を追ってきた。小学生になると兄と比較される機会が増え「もう、やりたくない」とへこんだことは一度や二度ではない。 それでも小学1年で全日本選手権バンビの部(小学2年以下)で優勝すると、小学5年で同ホープスの部(小学6年以下)を制覇。神奈川にある木下アカデミーから誘いを受け、中学で上京した。 「五輪は夢だったけど、小学生の頃は『無理だったらいいや』ぐらいの気持ちだった。中1ぐらいから『絶対に行きたい』『金メダルを獲りたい』となった」 周囲も驚く成長曲線を描き、男子エースの兄と肩を並べる存在となった。小さい頃はゲーム機の取り合いでケンカすることもあったが、今も昔も変わらず兄妹仲は良い。 アジア選手権の男子シングルスで日本勢50年ぶりの優勝を果たした兄から「僕は中国選手に決勝で1回勝っただけだが、妹は決勝で2回勝った。僕より妹の方がすごい」と称えられ「妹が頑張っているから僕も勝ちを重ねられている。他の選手ではこういうモチベーションにならないので、ありがたい」と感謝された。 アジア選手権で張本は女子団体の金に加え、シングルス、女子ダブルスで銀メダルを獲得。3個のメダルを首から下げて帰国し「嬉しい気持ちが6割で、あとは悔しい」と3冠を逃したことを悔やんだ。 団体戦で中国選手に2連勝しても満足はしていない。向上心を持ち続け、年の世界選手権カタール大会、2028年ロサンゼルス五輪ではシングルスで、兄との兄妹金メダルを目指す。 張本美和/Miwa Harimoto 2008年6月16日、宮城県仙台市生まれ。2歳で卓球を始め、仙台ジュニアクラブでプレー。中学で関東に引っ越し、木下アカデミーに入る。今春に通信制の星槎国際高横浜に進学し、現在は木下グループ所属。Tリーグは2018年から木下アビエル神奈川の一員として戦う。父・宇さんがコーチ、母・凌さんは1995年世界選手権の中国代表。趣味はダンス。身長1m66cm。
TEXT=木本新也