救急隊が「死亡状態」と判断、不搬送の男性 措置後に蘇生するも死亡
知多中部広域事務組合消防本部(愛知県半田市)は11日、救急隊員が10日に119番通報を受けて出動した住宅で、「死亡状態」と判断して搬送しなかった70代の男性が、措置を受けて心肺蘇生した後、同日夕に死亡したと発表した。男性の口元などが動いたことに気づいた警察から改めて通報を受け、救急隊が再度現場に駆けつけて措置をしたという。同本部は死因との因果関係は「分からない」としている。 【写真】会見で説明する知多中部広域事務組合消防本部の消防長ら=2024年11月11日午後4時23分、愛知県半田市、臼井昭仁撮影 発表によると、10日午前9時35分ごろ、愛知県東浦町のマンションの管理人から、「3階に住む男性宅の新聞がたまっている」と119番通報があった。同本部半田消防署北部出張所と半田消防署から救急車や消防車など計4台が出動し、約20分後に浴室に横たわっていた男性を見つけた。救急隊員が体温や呼吸を確認すると心肺停止状態で、「明らかな死亡状態」として搬送する必要がないと判断。午前10時40分ごろに警察に引き継ぎをして引き揚げた。ところが同11時15分ごろ、警察官が男性の口元や指先が動いたことに気付き、119番通報した。 再び隊員が駆けつけて措置をしたところ、心肺が蘇生し病院へ搬送したが、男性は同日夕、亡くなったという。男性は一人暮らしで、同本部は別居の親族に謝罪した。 同本部の枡内文男消防長は会見で謝罪し、「現場の雰囲気で死亡しているという先入観の影響があったとみられる。聴診器や血圧計などを使って慎重に判断するべきで、なぜ使わなかったかなどを含め原因を検証したい」と話した。(臼井昭仁)
朝日新聞社