旧分校で長野移住の陶芸家らが“文化祭” 木造校舎生かし「来年も」
長野市の山間部の旧小学校分校で3日から2日間、「分校の文化祭」が初めて催され、さまざまな出店や楽器演奏などのイベントでにぎわいました。分校は地元出身の実業家が戦前に「ふるさとの子どもたちのために」と校舎を寄贈し、廃校後も地元住民が大切に保存。住民や県外などから移り住んだ陶芸家などの家族らが「分校を中心に地域おこしをしよう」と再び光を当てることになりました。住民らは「先人に感謝しながら地域を元気にして恩返しを」と毎年の文化祭開催を計画しています。
陶芸家アダム・スミスさんの妻が呼びかけ
文化祭を開いたのは長野市七二会(なにあい)の七二会小学校を本校として設置されていた旧岩草分校(七二会岩草地区)。JR長野駅から約18キロの長野市西部の山間地にあります。木造2階建て3教室、1事務所の校舎は、日米開戦の年でもあった1941(昭和16)年に地元出身の実業家で名古屋などで活躍した矢島環(やじま・たまき)氏が寄贈、建設。統廃合で廃校になる1964(昭和39)年まで山間地の分校として住民が大切に守ってきました。 当時の分校に通ったという地元の人は「小学校3年まで分校で勉強し、4年生から本校の七二会小学校まで通った」。木造の校舎は南面に広いガラス窓、高い天井、がっしりした階段の手すりなどがそのまま残っており、寄贈を受けて子どもたちの教育に心を砕いた住民の誇りを伝えています。
せっかくの旧分校校舎を地域おこしにつなげたいと考えた地元の陶芸家アダム・スミスさん(46)の妻、陽子さんらを中心に長野市内などの友人、知人の雑貨屋、パン屋、ペットボトルのおもちゃ制作者ら多彩な業種の経営者に呼び掛けたところ、20人近い参加があり、この日の開催にこぎつけました。 校舎内の出店には長野市内などから家族連れなどが車で訪れ、装飾品や雑貨、地元の農産物などの買い物を楽しんでいました。子どもたちのために音楽会や絵本の読み聞かせも。アダムさんはオーストラリアの先住民、アボリジニがユーカリの木から作り出した大型の尺八のような楽器ディジュリデュを吹きながら楽器の成り立ちを解説。拍手が起きていました。