米大統領選開票始まる「トランプ政権、女性権利奪う」「ハリス氏米国沈めた」アラブ系注目
米大統領選は5日夜(日本時間6日朝)、開票が始まった。勝敗を左右するのは東部ペンシルベニアや中西部ミシガンなど接戦7州。有権者は、民主党・ハリス副大統領(60)と共和党・トランプ前大統領(78)の両候補の人格や経済政策、人工妊娠中絶の是非などの争点でそれぞれの選択を示した。 【表でみる】米大統領選でどちらかが敗北した後のシナリオは? ペンシルベニアは接戦州の中でも選挙人が19人と最も多い重要州。最大都市フィラデルフィア中心部では、投票開始時間の午前7時から多くの人が投票所に足を運んだ。看護師のジョセリン・エンリケスさん(23)は「トランプ政権下で進んだ司法の保守化が中絶などの女性の権利を奪っている」との危機感からハリス氏に投票した。 ユダヤ系のベン・フィッシャーさん(27)もハリス氏に1票を託した。「口汚い罵倒や偽情報の拡散を続けるトランプ氏のレトリックがさらに力を持つことが恐ろしい」ためだという。 トランプ氏の支持も底堅い。同氏の邸宅がある南部フロリダ州パームビーチには各地から熱心な支持者が集まった。 期日前投票を済ませてきたという西部カリフォルニア州サンディエゴのベトナム系女性、エイミー・リーさん(62)は「ハリス氏がこの4年間でしたのは、この国をトイレに沈めたことだけだ」と主張。「トランプ氏こそが経済を復活させ、停滞したこの国を救うことができる唯一の人物だ」と力を込めた。 両候補が競り合うミシガン州デトロイト近郊のディアボーン市では、中東危機の長期化と拡大を懸念するアラブ系市民が続々と投票した。 同市はアラブ系が人口の5割を占める。大学2年生のユセフ・アベルバタさん(20)は、パレスチナ自治区ガザやレバノンでの戦闘終結が「最大の関心事だ」と語った。 同州で2月に行われた民主党予備選では、ガザの戦闘を巡る米政府の対応を批判するアラブ系市民が呼びかけた「支持候補なし」への投票が13%に上った。従来は民主党支持が多かったアラブ系の批判票が本選の勝敗を決める可能性もあるとして米メディアの関心を集めている。(フィラデルフィア 大内清、ディアボーン 平田雄介、パームビーチ 本間英士)