【高校野球勢力地図・愛知編】躍進著しい豊川、豊橋中央の「東三河勢」vs.私学四強の「名古屋勢」!
至学館の新基準バットでの戦い方に注目
愛工大名電以外の名古屋地区勢としては、東邦が準々決勝で豊川に競り負けたものの、大島 善也内野手(2年)、高柳 大治捕手(2年)らの打線は力強い。課題は杉浦 成海投手(2年)、小西 正人投手(2年)などの投手陣から柱が出てくることだろう。いざとなれば捕手の高柳もマウンドに立つこともある。 ベスト8を前に豊橋中央に敗れた享栄、同じく愛知産大工にタイブレークで敗れた中京大中京だが、享栄には小山 隼和投手(1年)とセンスのいい好打者・仲谷 成真内野手(1年)という好素材の1年生がいる。中京大中京も、1年生の大型右腕・宮内 渉吾投手の成長が楽しみだ。また、準優勝した夏も経験した山田 頼旺外野手(2年)ら注目の好選手も多い。 中京大中京を下した愛知産大工は、準々決勝で愛工大名電に0対1と惜敗。川崎 智哉投手(2年)、織田 優太投手(1年)はじめ、常時6、7人の投手がベンチで控えていて、目まぐるしく目先を変えてくる戦い方だ。 至学館は麻王義之監督が勇退して、鈴木健介新監督に引き継がれたが、基本的な野球スタイルは変わらない。多くの選手を起用しながらの全員野球で、鈴木 一輔外野手(2年)やエガレバ クリントン内野手(2年)をはじめ、塁へ出たら何かと仕掛けてくるという戦い方は、新基準バットでどう生きてくるのかということも注目したい。 夏はベスト4まで進出した中部大春日丘は、秋はその至学館に敗れた。秋はまだ選手が固定しきれないところもあった。それだけに、チーム内の競争も激しくなっていって、レベルは上げられて行っているのではないだろうか。秋は今一つ結果を残せなかった星城、栄徳、名経大市邨、名城大附あたりも、どこまで作ってくるのかというところも注目だ。 公立勢では愛知商、向陽、名市工芸などに、県大会進出はならなかったが千種、松蔭、日進西、明和あたりも健闘している。
尾張、知多、西三河各地区の現状
尾張地区では小牧南が大健闘で昨年秋季県大会でベスト4にまで進出して、21世紀枠の県推薦校となった。夏休みの練習試合から突如として台頭してきたミラクルな松本 晃征投手(2年)が粘り強く投げた。また、1年生の江原 涼太投手も素材力は高い。その小牧南に県大会で敗れた誉は、田所 璃乙外野手(2年)、田中 駿希弥内野手(2年)、黒田 愁斗捕手(2年)の上位打線は好素材だ。 大成の堺 千真投手(2年)、誠信の武政 楓生投手(1年)なども好投手だ。愛知黎明、愛知啓成などが、どう立て直してくるのかというところも見どころとなる。公立勢では西春、津島、丹羽あたりがどこまで食い込んでくるのかというところである。 知多地区では、県大会後の全尾張大会で小牧南や誠信を下して優勝した大府が頭1つリードしている。長野 晴太投手(2年)は注目だが、中嶋勇喜監督は「夏を意識したら、長野に続く投手の成長が必要」をテーマとして掲げている。地区唯一の私立校・日本福祉大附は、秋季大会は結果を残せなかったが、11月末に日本福祉大学創立70周年記念事業の招待試合で、浜松日体(静岡)とナゴヤ球場で戦うなど、モチベーションを上げている。他には半田、東浦、知多翔洋などが続く存在となる。 混戦の西三河地区は、地区予選では三好が7対4で安城を下して1位となった。しかし、県大会では初戦で杜若に敗れた。夏はベスト8まで進出した杜若は、西三河5位での進出だったが、1年生の多いチームだけに、田中祐貴監督も成長には期待している。 西三河のリーダー的存在でもある愛知産大三河がやや低迷。岡崎学園、科技豊田とともにどこまで作り直してくるのかも楽しみだ。岡崎城西、豊田大谷は県大会に進出したものの、初戦で敗退している。 公立勢の鍔迫り合いも西三河の見どころとなる。今季は三好を筆頭に刈谷、安城、西尾、西尾東に、岡崎工科、刈谷工科といったところが競い合いそうだ。果たしてその中から、昨秋の小牧南や一時の西尾東のように抜け出てくる存在が現れるのか。その期待も含めて、見ていきたい。 文/手束仁