今季の地方球場4戦4勝の巨人・山崎伊織、なぜ、無類の強さを発揮できるのか…『地方の鬼』が語る『攻略の秘訣』とは?
◇記者コラム「Free Talking」 巨人の4年目右腕、山崎伊織投手(25)が25日のDeNA戦(ハードオフ新潟)に先発し、8イニング1失点で6勝目を手にした。バットでも7回に決勝の適時二塁打を放つ“二刀流”の活躍。今季の地方球場での登板は4戦4勝となった。地方でなぜ、無類の強さを発揮できるのか。連勝を伸ばすたびに質問してみると、いくつかの秘訣(ひけつ)が見えてきた。 まずは冷静さ。「地方球場は相手だって初めてだから、別にどうというのはない」と不慣れな環境にも動じない。4月9日のヤクルト戦(鹿児島・平和リース)では「風が強い球場で、打球がちょっと上がって(スタンドに)入ってもうたらしゃあない」と割り切って5イニング2/3を1失点。今季初勝利をマークした。 地方での試合が多く組まれている火曜日に投げていることも要因といえそうだ。カード初戦を任されることで「週の最初に負けたら嫌な気持ちになる。いいスタートを切れるような投球をするのが役割」と投手陣の中心としての自覚が高まり、好投のモチベーションになっている。さらに、何より大きいのは、投手としての成長だ。 歩んできた道のりは決して順風満帆ではない。東海大4年時に右肘内側側副靱帯(じんたい)再建術(通称「トミー・ジョン」手術)を受け、プロ1年目はリハビリに専念。2年目は5勝5敗、3年目は10勝5敗と徐々に実力をつけてきた。 「1、2年目は自分のボールに全然納得いかなかったけど、ずっと先発をやってきて、マウンドが投げにくかったり調子が悪い中でもどう抑えるかを常に考えてきた。そういうところはすごく成長できている」。普段はひょうひょうとしている男が、このときばかりは熱っぽく語った。 巨人が火曜日に今後予定している地方試合は7月2日の中日戦(長野・セキスイハイム松本)があり、山崎伊が登板する可能性がある。現役時代に通算142勝をあげた杉内俊哉投手チーフコーチをして「僕はダメだったけど、伊織はどのマウンドでも対応できる」と言わしめるまでになった背番号19が果たして竜を相手に“地方全勝”を続けられるか。注目したい。(巨人担当・杉原雄介)
中日スポーツ