【ラグビー】トヨタヴェルブリッツの三浦昌悟、代表定着へ決意。「チャンスを全力で掴みたい」。
6月8日で29歳を迎えるトヨタヴェルブリッツの三浦昌悟が、腕を撫している。 5月30日に発表された日本代表宮崎合宿のメンバーに入った。 同じ左PRでの選出はほかに、横浜キヤノンイーグルスの岡部崇人と静岡ブルーレヴズの茂原隆由。いずれも初めての日本代表入りだ(岡部は2022年度に日本代表候補入り)。 日本代表キャップ9を持つ三浦には、「経験値」で一日の長がある。 稲垣啓太やクレイグ・ミラーといったジャパンの先輩たちは、ケガや休養で夏の代表活動には参加していない。 「リーグワンの決勝を見ても、1番のポジションには若い選手の突き上げがあります。ですが、稲垣さんという絶対的存在を見てきた身として、稲垣さんから学んだことをプレーに繋げてアピールしたいです」 学生時代から国際舞台での経験を積んできた。代表デビューは東海大3年時(香港戦)。2019年の日本大会、2023年のフランス大会とワールドカップ出場は二度逃すも、自国開催のW杯前にはサンウルブズとして活動し、代表の宮崎合宿にも6月末から参加した。 再び招集された2022年には、夏のウルグアイ戦(1戦目)に先発してNDSから日本代表に昇格、秋にはオーストラリアAとの3連戦すべてに出場した。 折に触れて、稲垣の凄みを知った。 「すべてにおいてディテールがしっかりしています。その場、その場でやるべきことが頭に入っていて、あとはハードワークするだけという状態でグラウンドに出ている。僕もやることをしっかりインプットして、同じことができるようにしたいです」 5月下旬におこなわれた「15人制男子トレーニングスコッド菅平合宿」では、プレーオフや入替戦に臨んだ選手よりも先に『超速ラグビー』に触れた。 「速いラグビーという根本は、ジェイミーの時と変わらない」とするも、「そこに極みがかった印象です。フィジカルでも勝たないといけないけど、日本のアイデンティティを大切にしようというのを感じます」。 「特に意識しているのは動き出し。プレーが終わった後にすぐ立ち上がって、次のプレーに動き出す最初のところが大事」と理解を深める。 その菅平合宿では、コーチングコーディネーターのニール・ハットリー氏によるスクラムセッションもあった。 「一方的に教えることはせず、選手に寄り添ってくれるコーチです。選手のフィードバックをもらいながら、選手とハッツ(愛称)の中で良いものを作り上げたいと話しています。初日はまだコネクトできていなくて組めるような状態ではなかったけど、今ではしっかりコンテストし合えるパックが出てきています。選手間で『こうした方がいいよね』と言い合えるようになりました」 6月6日から始まる宮崎合宿は、エディー・ジョーンズHC体制(第2期)となって初めておこなわれる代表のキャンプだ。 「自分の持っている力をアピールしたい」と意気込む。 今季のリーグワンで成長できた、ボールキャリーも見せていきたい。 所属チームの成績こそ低迷したが、アーロン・スミスとボーデン・バレットのハーフ団の加入で、アタックの際の意識を変えられた。 「全員がオプションになる、全員がアタックに絡むということをやってきて、それは今までもやってきたのですが、2人からは本当にいつパスが来るか分からない。気が抜けませんでした(笑)。今まではあまりボールキャリーにフォーカスしてこなかったのですが、ランナーとしてボールを前に運べるようになったのは成長だと思います」 ワールドカップ2027オーストラリア大会は脂の乗った32歳で迎える。まずは、6月22日のイングランド戦に出場し、良いスタートを切りたい。 「監督が変わって全員がフラットの状態でスタートするので、とてもワクワクしています。合宿に呼ばれている以上、掴み取れる権利がある。あとは自分がやるか、やらないか。全力で掴み取りたいです」 (文:明石尚之)