AirJapan便「半分超えはまだ先」2号機は4月中旬、当面ANA便主体
ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)の峯口秀喜社長は2月9日、この日就航したインバウンド(訪日外国人)を主な対象にした新ブランド「AirJapan」の運航割合は、同社が運航する便のうち半分以下の状況が続くと語った。同社は全日本空輸(ANA/NH)の国際線を一部運航しており、ANAブランド便とAirJapanブランド便の両方を運航する体制になった。 【写真】ANA 787初号機の"サバ"から"通常"へ塗装作業 ◆25年度までに6機 AirJapanは、FSC(フルサービス航空会社)のANA、LCC(低コスト航空会社)のピーチ・アビエーション(APJ/MM)に続くANAグループ第3のブランド。アジア・リゾート路線をグループ内で担うエアージャパンを、FSCとLCCの長所を併せ持つ“いいとこ取り”の航空会社に衣替えした。客室乗務員はANAとAirJapanの制服を乗務に応じて着用する。 機材はすべてANAが運航していたボーイング787-8型機の改修機で、2025年度までに6機体制とする計画で、現在は初号機(登録記号JA803A)のみ。 峯口社長は「2号機(JA801A)が4月中旬に入ってくるが、ANAブランド便の運航は6-7機相当。機材が増えるに従ってAirJapanブランド便が増えていくが、半分を超えるのはまだ先だと思う」と述べた。 2号機はANAの787初号機で、世界で初めて商業運航を行った787。就航当初の特別塗装は、白いボディーに濃紺のアクセントが入ることから、航空ファンからは“鯖”(サバ)塗装とも呼ばれていたが、再塗装が行われた7年前の2017年2月に通常デザインになった(関連記事)。 ◆フルサービス並みのサービス AirJapan仕様の座席数は1クラス324席でエコノミークラスのみ。シートピッチは海外のFSCのエコノミークラスと同等となる32インチ(約81センチ)で、東南アジアのLCCで主流の28-29インチより広くした。ANAの国際線用787は34インチ、国内線用は31インチで、グループ内では中間のピッチとなる。 改修前の初号機は、2クラス240席(ビジネス42席、エコノミー198席)仕様だった。L2-R2ドア付近にあったバーコーナー、L3-R3ドア付近の中央ギャレーを撤去し、座席を設置するスペースに充てた。 1路線目の成田-バンコク線を週6往復で9日に開設。2路線目のソウル(仁川)線を週5往復で22日に、3路線目の成田-シンガポール線を週5往復で4月26日に就航させる。4月29日からソウル線、30日からバンコク線をそれぞれ週7往復(1日1往復)のデイリー運航に増便する。 「シートピッチが広く、FSCのエコノミーと比べて遜色ない。ANAブランド便の運航で、FSCのサービスを知っている客室乗務員が乗務する」(峯口社長)と、これまでANA便に乗務してきた同社の客室乗務員がAirJapan便と双方に乗務することから、シートピッチの広さだけでなく、FSCのサービスが身についた客室乗務員による接客を提供できるという。 東南アジアは各国のFSCやLCCが多く飛んでおり、価格競争が激しい。峯口社長は「短い距離だとお客さまは安いところを使おうとすると思うが、中距離は片道5-7時間かかるので少々高くても広い席を選ぶだろう」と、低価格運賃ではなく快適性で勝負していく。
Tadayuki YOSHIKAWA