授業時間は韓国の「10分の1」中学生の情報教育 教員不足も深刻なぜ? #みんなのギモン
■7割以上が「免許なし」も
昭和の時代、技術科の授業では木材や金属の加工をしたり、電気の知識でモーター仕掛けの製品を作ったりしました。平成以降はコンピューターの仕組みを知る分野が盛り込まれ、令和の今、インターネットや情報リテラシー、プログラミングについて広く技術科の中で学ぶよう学習指導要領で定められています。暮らしや仕事で不可欠なスキルであるため、国も力を入れています。 ところが文部科学省が、技術科の授業を担当する全国の公立中学校の教員9719人を調査したところ、2022年度、正規免許を持っている教員は7474人(76.9%)で、残る2200人あまりは期限付きの「臨時免許」だったり、国語や数学など他の教科の教員が教える「免許外教科担任」だったりしました。 この傾向は地方で著しく、和歌山県では技術科を受け持つ教員の75%が「免許なし」、宮崎県でも64%が「免許なし」。これに鹿児島県、大分県、高知県などもあわせ、7つの自治体で担当教員の半数以上が「免許なし」でした。一方、東京都や茨城県など6つの自治体は担当教員の全員が免許を持っていました。地域格差が大きいのが現状です。
■技術科の教員は不人気?
なぜ技術科の教員はこんなに不足しているのでしょうか。 大学の教員養成課程を調べてみたところ、2022年時点で中学校の教員免許が取得できる大学は全国で514ありますが、このうち技術科の免許が取得できるのは63です。山形県や秋田県、石川県など5県では技術科の免許が取得できる大学はゼロでした。 背景には、中学校の技術科の教員養成課程は履修すべき科目数が多く実習もあるため学生と大学の双方に負担が大きく、人気がないことが理由だとみられます。 文部科学省や各自治体では、遠隔授業を取り入れたり外部の人材を活用したりするなど改善に取り組んでいますが、今後も全国の大学で技術科の教員養成課程を廃止する動きがあるといい、これでは技術科の教員が減り続ける可能性があります。