DIC川村記念美術館の入り口＝佐倉市

　佐倉市からの移転や運営中止が検討されているDIC川村記念美術館（同市坂戸）を巡り、所有・運営する化学メーカーDIC（東京都中央区）は30日、休館に入る時期を当初の2025年1月下旬から同3月下旬に延期すると発表した。休館予定発表後に来館者が急増しており、より多くの人に足を運んでもらおうと2カ月の先送りを決めた。 　同社は8月下旬、今後の美術館の運営方法に関する中間報告を公表。資産効率の観点から都内への縮小移転を軸に運営中止も選択肢にして検討し、年内に結論を出した上で来年1月下旬から休館するとしていた。 　現地での存続を求める声は高まっており、佐倉市などは9月末まで署名活動を展開した。10月には同社経営陣と面会し、署名簿を提出する予定となっている。 　同美術館は1990年開館。20世紀美術などのコレクションで知られ、所蔵作品754点のうち同社が保有する384点の資産価値は計112億円（簿価ベース、6月末時点）に上る。