“熱発ダウン”していた2団体世界統一王者の井上尚弥が再始動「一瞬、新型コロナかと心配した」と心中告白
プロボクシングのWBA世界バンタム級スーパー王者、IBF同級王者の井上尚弥(26、大橋)と前WBC世界バンタム級暫定王者の井上拓真(24)の2人が15日、横浜の大橋ジムで確定申告のPRイベントを行った。井上尚弥は、今月始めのグアム島キャンプ後に高熱を発しダウン。7日のボクシング年間表彰式を欠席して以来、初めて公の場に出席したが、「一瞬、新型コロナウィルスかと心配した。怖かった」という。本当の発熱理由は過酷なトレーニングによる極度の筋肉疲労。1日で熱が下がり新型コロナ疑惑は晴れ、13日からはフィリピンから呼んだ2人の仮想カシメロとの本格スパーリングもスタートし逆に調子は上向いているという。井上は、4月25日(日本時間26日)に米国・ラスベガスでWBO同級王者のジョンリール・カシメロ(31、フィリピン)と3団体統一戦を戦う。
肉体の限界突破が本当の発熱理由
井上尚弥は”舌好調”だった。その表情に熱発の影響はまるでない。 この日、井上兄弟の地元である大和税務署の「e―TAX広報大使」に就任。大和税務署の香野義吉署長から委嘱状と名刺を受け取った2人は、スマホを使った確定申告の模擬体験を実施した。3年連続の抜擢である。 報道陣から「確定申告をボクシングに例えれば?」と無茶ぶりをされ、「今年もそれ聞きます?」と苦笑いを浮かべた井上尚弥は「プロテストですかね」と、8年前のプロテストとスマホによる確定申告の利便性を重ねた。 関係者の受けが、それほどよくなかったからか、「どちらも、これくらい簡単だよ、とボクシングに例えた。違うっすか(笑)。これの答えの正解かわからないですよ」と、弟の拓真にコメントをふり、拓真も「バンテージを巻くくらいに簡単かな」と返して場をなごませた。 2019年はWBSSの準決勝、決勝の2試合を戦い、特にさいたまスーパーアリーナが超満員に膨れ上がったノニト・ドネア(フィリピン)との決勝戦は、ボクシング史に残る名勝負となり、人気も世界的な評価も急上昇。4月25日には、WBO世界同級王者、カシメロとの“聖地”ラスベガスでのビッグマッチが控えている。当然、巨額なファイトマネーを手にし続けることになるが、「スポーツ選手なんでね。一番、税金を払わねばいけない職だと思っている。その払った分がやってきた実績。(確定申告は)どれだけ稼いだかが目に見えてわかる時期。これだけやったんだなと、この時期には感じますね」と、“税金”についての所感をコメントした。ファイトマネーはプロとしてモチベーションのひとつである。 公の場に出てくるのは、グアム島キャンプ以来となる。帰国した6日の夜に39度近い高熱を発して、7日に予定されていたMVPに輝くボクシングの年間表彰式を欠席。代役スピーチが回ってきたWBA世界ミドル級王者、村田諒太(33、帝拳)に愚痴られた。 「もうすっかり大丈夫です」 この日、井上は、元気一杯だったが、突然の発熱に「新型コロナじゃないかと心配して、一瞬、怖かった」と、蔓延する新型コロナウィルスの恐怖に襲われたことを告白した。 マスクを着用していたが、羽田空港や密室となる飛行機内など多くの人が集まる感染の危険性がある環境を移動してきただけに、まさかの発熱に、疑念や不安を抱くのも無理はなかった。今後も試合までには細心の注意を払っていくという。