昨年に芸能界復帰を果たした坂口憲二演じる天才心臓外科医に迫る最大の試練を描いた「医龍4~Team Medical Dragon~」
特発性大腿骨頭壊死症という国指定の難病に侵され、2018年3月より治療に専念するために芸能活動を無期限休業していた坂口憲二。2023年放送のドラマ「風間公親―教場0―」(フジテレビ)で待望の俳優復帰を果たしたが、ドラマへのレギュラー出演は実に9年ぶりのこと。それ以前となると、彼の代表作でもある2014年放送の「医龍4~Team Medical Dragon~」まで遡らなければいけない。 【写真を見る】手術着姿の坂口憲二 時代の最先端医療とそこにある課題に向き合ってきた人気ドラマシリーズ「医龍」。シーズン1で描いたバチスタ手術は進化した左室形成術に変わり、シーズン2で取り上げた小児への臓器移植も現在は法改正で可能になった。さらに、シーズン3で主軸を担ったカテーテル治療はiPS細胞を活用した再生医療に向かうなど、徹底したリサーチが生み出すリアリティーと先見性が光る、骨太の医療ドラマといえる。 これまで医療を取り巻く状況が変わるたびにその中心に切り込んできた同シリーズが「医龍4~Team Medical Dragon~」で取り上げたのは、「世界か日本か?」という壮大なテーマだ。 ■チームドラゴンに迫る最大の危機 日本の医療が新たな輸出品として海外で現地の富裕層相手に外貨獲得を目指すという劇的な局面を迎える一方、国内の地方医療を担ってきた中規模病院の経営が困窮。医師不足も重なり、病院の閉院が相次いでいた。 かつて医局を追い出された朝田龍太郎(坂口憲二)を受け入れて医師のイロハを叩き込み、凄腕医師に育て上げた恩師の桜井修三が院長を務める桜井総合病院もそんな中規模病院の1つだ。 物語は最新の医療設備が揃うL&P病院の台頭で、医師が桜井1人となり満足な医療が提供できないでいた桜井総合病院が朝田を呼び戻すところから始まる。SOSを受け取った朝田は桜井総合病院に舞い戻ると、かつての仲間を招集。チームドラゴンを再び結成し、理想の病院を作るために動き出した。 しかし、その裏にはチームドラゴンをインドに送り込みたいL&P病院顧問で仇敵の野口賢雄(岸部一徳)とL&P病院経営コンサルタントの岡村征(高橋克典)の思惑がうごめいていた。 それぞれが持つ医師としての信念を巧みに利用され、1人また1人と朝田の元から去っていく仲間たち。そしてついに野口と岡村の魔の手が朝田にも迫る中、患者の命と信念を天秤にかけて下した決断とは。 チームドラゴンが最大の危機に瀕するなかでも、朝田というキャラクターを体現し続ける坂口の演技をぜひ見届けてほしい。 文=安藤康之
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