台湾と国交結ぶ9カ国が国連事務総長に共同書簡 台湾の訴えへの理解求める
(ニューヨーク中央社)第79回国連総会の一般討論演説が米ニューヨークで24日から始まるのを前に、中華民国(台湾)と国交を結ぶ9カ国が19日、台湾の訴えに対する理解を呼びかける共同書簡をグテレス国連事務総長に提出した。書簡を自ら届けたセントビンセント・グレナディーンの国連常駐代表は、一般討論演説を含むハイレベルウイークに開かれる「未来サミット」で「未来のための協定」などがまとめられる予定であることに触れ、台湾の参加の重要性を訴えた。 各国の首脳らによる一般討論演説は24~28日と30日に開催。未来サミットは22~23日に開かれる。未来サミットでは「持続可能な開発目標」(SDGs)や国連憲章へのコミットメントを再確認するとともに、新たな脅威や機会に取り組むためにいかにして協力すべきかを検討し、その成果として「未来のための協定」を作成する。また、誰一人取り残さない方法でデジタル技術の機会を活用し、リスクを管理するための「グローバル・デジタル・コンパクト」なども採択される予定。 共同書簡には(1)国連総会2758号決議(通称アルバニア決議)が悪意ある曲解をされていることは台湾海峡の現状やインド太平洋地域の平和と安定において深刻な脅威になっており、国連はこれを正視し、積極的な措置を取るべき(2)国連総会2758号決議は国連システムへの台湾の有意義な参加を排除していない。国連は台湾がSDGsの実現に向けて貢献できるよう、適切な方法で台湾の参加を受け入れるべき(3)国連は中立を厳しく守り、国連総会2758号決議の誤った参照や、台湾の人々やメディアが国連を訪問したり、関連の会議や活動に出席、取材したりする権利を不当に奪うことをやめるべき―の三つの主張が盛り込まれた。 セントビンセント・グレナディーンのインガ・ロンダ・キング国連常駐代表は取材に対し、未来サミットで未来のための協定やグローバル・デジタル・コンパクトなどが採択される予定であることに言及。世界の科学技術の系譜において、台湾が各種の協定に参加できないということは想像できるだろうかと語った。また、台湾は世界のハイエンド半導体の9割を製造し、人工知能(AI)技術のリーダーでもあると指摘し、世界がデジタルの防護柵を構築し、デジタル製品とつながることを試みる時、台湾が議論に参加できないとはどういうことだろうかと疑問を呈した。 グアテマラのマンシア国連常駐代表は、今年議論される議題はもし台湾が議論に参加すればさらにテーマに即するものになると指摘。台湾は民主主義に必要なメンバーであり、自由と科学技術を持ち、議論するのは未来の世代だからだと説明した。 駐ニューヨーク台北経済文化弁事処(総領事館に相当)の李志強処長は、国交を結ぶ国々が再び行動で台湾の国連システムへの参加に対して固い支持を示したことに政府を代表して感謝すると述べた。また、台湾として今年の主な任務は国連総会2758号決議の内容について国際社会に正確に理解してもらうことだと強調した。 国連総会2758号決議は中華人民共和国を国連における中国の唯一の合法的代表とすることを承認し、蒋介石の代表を国連とその関連組織から追放する内容が盛り込まれた決議で、1971年に国連総会で採択された。アルバニアなど共同提案国23カ国によって決議案が提出されたことから、「アルバニア決議」とも呼ばれている。 (廖漢原/編集:名切千絵)